初対面は全裸だった!! 高倉健さんの「素顔」 「せんだみつお」が語る昭和のスター列伝

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初対面が全裸

――そこから遡(さかのぼ)ること約20年前、初めて対面したときは、従来のイメージとの違いにかなりビックリしたんですよね。

せんだ:こんなこと言ったら怒られちゃうかもしれないけど……一瞬、芸人さんかと思ったんだよねぇ。

――芸人とまで言いますか!? ファンの方々が黙っちゃいないですよ!

せんだ:本当に申し訳ないとは思うけど、でも誰だって驚いたと思うよ……。あれは僕の黄金期の頃だったから、1975年ぐらいかな。プロレスラーのザ・デストロイヤー(せんだはプロレスラーのザ・デストロイヤーと、「金曜10時!うわさのチャンネル!!」で共演していた)が、忘れ物を取りに行くっていうんで、セレブ御用達みたいな会員制のトレーニングジムに付いていったのよ。で、サウナのあるフロアに行ったんだ。そしたらサウナの前にいた全裸の人が、いきなり「ハ〜イ! デス〜!」って、すごくはしゃいだ感じで手を振りながらこっちにやって来るの。デスの知り合いの芸人さんかなんかだなと思ったんだけど、デスが「ハ〜イ、ケン!」って!! それでやっと気づいたわけ。

――人目のない会員制のジムというプライベートな空間で、すごくリラックスしていたんでしょうね。

せんだ:サウナに入ったりしてね。そんな中で仲良しのジム仲間であるデスを見つけたと。そう考えると、あのときの様子って、ほぼ素に近い健さんってことになると思うんだけど、ああこの人は“スター高倉健”を背負って生きている人なんだなとしみじみ思った。というのもね、屈託のない笑顔でこっちにやってくる健さんに、側にいた付き人みたいな人が慌てて「せんだみつおです、せんだみつおです」って耳打ちしたんだ。そしたら健さん、瞬間的に肩にかけてたタオルを腰にサッと巻いて、僕に手を差し出しながら姿勢を正してこう言ったんだ。「初めまして。高倉健です」って。

――今、健さんの口調と声色を模したんだと思いますが……丹波哲郎さんの声になってましたよ!

せんだ:しょっちゅう丹波さんのマネしてるもんだから、ナハ! でも健さん、丹波さんともけっこう交流あったんだよね。

――「男の血潮がこだまする」の地方ロケの宿泊先で、丹波さんに催眠術を見せてくれって毎晩せっついた話とか、いいですよね。

せんだ:そのうち健さんがすっかり会得して、当時奥さんだった江利チエミさんにかけていたって……ホントかな? でもその話、最高。ってかなり脱線しちゃったけど、ジムでの僕の驚き、想像できるでしょ。こっちは初めてナマで見る健さんを前に、驚きながら平身低頭。しかもガッチリ手を握られて「いつも見てます」なんて言われたもんだからさあ。まああの頃はまだ、僕もテレビに出まくってたからねぇ……(遠い目)。でも、あの瞬間的な変化を見たとき、思ったよ。長嶋さんも「長嶋茂雄を演じ続けなければいけないのはたいへんなことなんです」って言ってたけど、スターの宿命っていうのかな、健さんも気が抜けないんだろうなって。

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