反捕鯨の本拠地で「ビハインド・ザ・コーヴ」が最優秀監督賞をもらったワケ 八木景子監督が語る

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納得せざるを得ない証拠

 そこまで反捕鯨に染まる英国で、なぜ受賞できたのだろうか。

「ネット配信などでも感想が寄せられるのですけど、特に米、英、オーストラリアの方から、『目からウロコだった』という声が多いですね。反捕鯨だからこそ関心持って見てもらえたこともあるでしょう。映画には日本の古くからの鯨とのつき合いや、日本を開国させたペリー来航が捕鯨のためだったとか、歴史的事実も紹介しています。また、一般的に言われていることとは逆に、西洋人も油だけでなく生活用品に鯨の髭を使用していたことを紹介しており共感を呼んでいます。また、鯨を日本人が食として利用、海外では軍事としての利用など、“残虐性”についても真逆であったこと、これまでの多くの人が持っていた認識と違うことが多く知れる内容で驚かれています。また、オーストラリアでは英雄扱いのシーシェパードですが、彼らが国際指名手配されてることなども知らない人が多いんです。映画を観て『犯罪者だったんだ!』と驚く人も多いんです」

 感情的にならずに、客観的な証拠を出せば、納得せざるを得なかったのだ。

「今回の受賞で、鯨により興味を持っていただけることを期待しています。反捕鯨活動家は、豊富にいる鯨が絶滅種であるように、うまくキャンペーンを繰り広げている。むしろ鯨を過剰に保護しすぎたために、鯨のエサであるオキアミや小魚が減って、生態系が崩れてきています。今後の目標は、不条理に制限されているIWCやワシントン条約から鯨を外して、自由貿易を可能にすることです」

 DVD化も果たした「ビハインドイ・ザ・コーヴ」。Amazonの日本のドキュメンタリー映画の売れ筋ランキング(2月23日現在)では、1位・羽生結弦「覚醒の時」(Blu-ray)、2位・同(DVD)に続き、3位につけている。

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週刊新潮WEB取材班

2018年2月27日掲載

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