“サムスン釈放”で“ロッテ拘束”のなぜ 「朴槿恵」疑獄裁判

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 韓国では、旧正月・春節(今年は2月16日)の連休を前に重要事件の判決がよく下る。この13日にも、朴槿恵(パククネ)前大統領の弾劾失職の元凶、“親友”崔順実(チェスンシル)被告(61)の一審判決公判がソウル中央地裁で行われた。

「彼女の懲役20年は予想の範疇でしたが、同じ日にロッテグループの辛東彬(シンドンビン)会長に懲役2年6カ月の実刑判決が出たのには驚きました」(在ソウル記者)

 疑獄の中心は、崔被告が主導したKスポーツ財団などへ、朴前大統領と共謀して財閥各社に出資させたという贈収賄事件。だが、贈賄側は強要された疑いも濃く、辛会長ら財界人は在宅で起訴されていた。

「それが一転、実刑判決により法廷で拘束。辛氏は、大韓スキー協会会長も務めているため、本人は公判後に五輪開催中の平昌へすぐ戻るつもりでいたのです」(同)

 実刑が意外な理由はもう一つ。一連の事件では、崔被告の娘ユラへの乗馬支援など、特にサムスン財閥がより深く関与したと指摘される。そのため、実質的トップの李在鎔(イジェヨン)副会長だけは、1年間、拘束され続けた。ところが、1週前の5日、二審判決で執行猶予が付き、李氏は釈放されていたのだ。

 ほとんど同じ罪状で、何がこの明暗を分けたのか。

「一審と二審で判決が軽くなっていくのが、政財界の大物を裁くときの韓国司法の相場なのです」

 と話すのは『悪韓論』の著者の室谷克実氏。

「ただ今回の場合は、サムスンの二審の裁判官が珍しく真っ当だったとも言えます。法理から言えば、請託の有無など、検察側は明らかに証拠を欠いていた。ところが、与党・共に民主党の秋美愛(チュミエ)代表などは、自身も裁判官出身なのに根拠もなく司法と財界の癒着だと連日の大批判。司法の独立を尊重する風土が韓国社会には育っていないのです」

 サムスンもホッとは出来ない。8日には警察庁特殊捜査課が病床にある李健煕(イゴンヒ)会長を脱税で立件。李明博(イミョンバク)元大統領の疑惑関連で社屋にも家宅捜索が入った。

 戦々恐々、旧正月が明ける。

週刊新潮 2018年3月1日号掲載

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