中居クンの“カラ元気”に感じるもの寂しさ「平昌五輪」メインキャスター採点表

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やっぱり修造

 ただ、こういう“上手い修造”“スマートな修造”が見られるのは、競技が行われている間だけ。競技の前後、特に終了後は、また“熱血修造”に逆戻りします。ラージヒル予選でも、番組の〆は「明日ニッポン、風を吹かせろ! 燃えろ闘魂! 届け勇気!」という修造の雄叫び。

 五輪中継のメインキャスターというのは、番組にとっては“額縁”のような存在。肝心の“絵”は競技中継で、額縁は本来その絵を引き立てればいいんですが、修造の場合、額縁が絵の中にズンズン踏み込んでいくから、絵と額縁の境目がわからなくなることさえある。

 競技中継の間は、絵を引き立てることに注力して「実は筋肉馬鹿じゃないんだな、修造」と思わせておいて、競技が終わると最後はやっぱり“熱血修造”――。実際のところ、絵である競技より、額縁である修造をウォッチしているほうが楽しい、という中継もあるくらいです。

 フィギュアスケート男子ショートプログラムの後、インタビューを受ける宇野昌磨の背後に、仁王立ちして取材の順番を待つ修造の姿が映り込んでいましたが、修造に目が奪われてしまって、宇野くんの言葉が耳に入ってきませんでした。「何が始まるんだろう」という期待感が修造にはある。今回、一番勢いのある五輪キャスターだと思います。

 しかもテレ朝の平昌中継は、修造とコンビを組むのが織田信成。“熱血で上手い修造”と“泣き虫で下手な信成”というのは、もう漫才コンビのような2人組です。ジャンプ中継の最後でも、修造が信成に「風、どうにかして!」と無茶ブリすると、信成が「いや、ボク無理ですけど……」とオドオド返し、それに修造が「心の風を吹かしてよ!」と畳み掛ける具合。冬季だったり天候不順だったりで、暗い画の多い平昌中継は、見ているコッチまで寒くなってくるときがありますから、暑苦しいくらいの修造・信成は、額縁として適任です。

――修造が東宝グループのお坊ちゃまなら、こちらは元総務事務次官のお坊ちゃま・嵐の櫻井翔(36)は、日テレで08年の北京五輪以来6大会連続でキャスターを務める。

 同じジャニーズ系でも、「見ていてツラくなる」のが中居の平昌中継なら、「見ていてつまらなくなる」のが嵐の櫻井の平昌中継。中居の後ろに見えるのが強大なジャニーズ事務所なら、櫻井の後ろに見えるのはジャニーズだけじゃなく、もっと強大な総務省とか電通とかですからね。

 総務事務次官だったパパ(桜井俊[64])は去年、五輪ビジネスの総元締めみたいな電通の執行役員になったし、息子の櫻井クンは五輪キャスター。役所と代理店とTV局が祭り上げる“オリンピック親子”については、よくある選手の“親子鷹物語”よりじっくり見てみたいけれど、五輪中継を楽しむには邪魔にしかなりません。

 で、オリンピックの王子様みたいな平昌の櫻井、よく予習をしていたり、喋りはモタッとしていたりで、仕事っぷりは「NEWS ZERO」(日テレ系)のニュースキャスターのまま。ソチ五輪のときはロシア語、リオデジャネイロ五輪のときはポルトガル語を使ってみせていたから、平昌でもハングルを披露するんでしょうが、ロシア語とポルトガル語は旅行者の日常会話集レベルだったし、肝心の日本語で語る内容も、ソツはないけど深みもない。

 それは一緒にキャスターを務める荒川静香も同じ。フィギュア以外の競技についても解説はきっちりしていて、相変わらずのクールビューティぶりはさすがでもあるんですが、裏を返せば薄味で、お祭り感に乏しいんです。

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