立民・枝野幸男が“AKB専門誌”で嬉々として愛を語る――実は“にわかファン”?

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「どんなに負けてても今度は勝ちに行こう」

 月刊誌「BUBKA」(白夜書房)という雑誌をご存じだろうか。かつては芸能人のプライベート写真の暴露など、ゲリラ的なスクープで名を馳せた。2012年以降はAKBグループの報道に特化している。この2月号の表紙に「枝野幸男」の文字があるのだ。

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 2月号は2017年12月28日発売。目次をチェックすれば「立憲民主党センター・枝野幸男初参戦!」とある。もちろん野党第1党たる立憲民主党の代表を務める、枝野幸男衆議院議員(53)を指しているのは間違いない。

 目次のページをめくると、いきなり該当の記事が目に飛び込む。つまりモノクロページの巻頭記事という位置づけなのだ。枝野代表のインタビューが2ページにわたって掲載されている。

 枝野代表がAKB48や乃木坂46、欅坂46のファンであることは、よく知られている。というより、歌謡曲好きと言った方がいいのかもしれないが、実際の誌面を少し引用させてもらおう。枝野代表がカラオケ好きというやりとりを踏まえ、取材者が問う。

《――ちなみにカラオケはどれくらいの頻度で行かれているのでしょうか?

枝野 忙しいと1か月以上いけないけど、重なるときは週2回とか(笑)。

――えっ!? そんなに行かれるんですね! アイドル楽曲だと欅坂46の他にどのような曲をよく歌われていたのでしょうか?

枝野 民主党の支持率が低かった時期には、よくAKB48の『チャンスの順番』を歌っていましたね。若手を励ますために(笑)。

――アハハハ! 「どんなに負けてても今度は勝ちに行こう」ですか(笑)》

 とまあ、そんな具合の記事なのだ。もっとも、野党を取材する全国紙政治部記者は「正直言って、『BUBKA』に登場するとはちょっと残念ですね」と苦笑する。

「結局は他愛もない記事です。目くじらを立てる必要はないという意見もある。ただ、枝野さんは仮にも野党第1党の党首ですよね。政権交代が実現すれば、総理の座につく可能性がある政治家ですよ。そもそもAKB48のコアなファン層は40代。欅坂や乃木坂に至ってはもっと若い。枝野さんは今年54歳ですよ。いいオッサンが……と言われても仕方ないでしょう。庶民派をアピールしたい気持ちはわかりますが、眉をひそめる大人の有権者もいると思います」

 昨年の衆院選で立憲民主党を立ち上げ、一躍“ヒーロー”になった枝野代表。世間に注目されて、浮かれちゃっているのかしらん――と、この原稿を結ぶつもりだったのだが、意外な事実が見つかった。

「AKB48はさすがによく分かりません」とも発言

 2010年6月19日、スポーツ報知は「民主・枝野幹事長にインタビュー『小沢氏より菅首相に何度もムカッ』」のインタビュー記事を掲載した。リードの一部は、こんな具合だ。

《弁護士出身で冷静沈着なイメージだが、趣味はカラオケで、実は昔のアイドルオタク。“イラ菅”ならぬ“イラ枝”な一面もあると告白した》

 そして枝野代表は記事中、記者の質問に導かれるようにして、AKBについて次のように語っている。

《――中高と合唱部で趣味はカラオケ。北島三郎からSMAP、シャ乱Qまで歌うって本当ですか。

「今、一番得意なのは野口五郎さん。『私鉄沿線』とか。ジャンルは関係なく歌のうまい歌手が好きで、聴くのが一番好きなのは和田アキ子さん。歌うこともあります」

――70~80年代のアイドルも詳しいそうで。

「昔のね。AKB48はさすがによく分かりませんが、ボクらの世代だと、山口百恵がちょっと上。同世代だと松田聖子」》

 少なくとも新聞の紙面上では、これから数年して「AKBのファン」という紹介が行われるようになる。逆算すると枝野代表は、ここ5年ぐらいでAKBを猛烈に“勉強”し、「BUBKA」のインタビューを受けるほど成長したとも考えられる。

 弁護士の知性派だから、さぞかし暗記は得意だろう。でも世間では、こういう人を“にわかファン”と言うのではなかっただろうか……。

以上の点を踏まえ、立憲民主党の広報担当に取材を依頼した。内容としては①BUBKAの取材を受けたメリットとデメリット、②AKBのファンになった経緯──の2点だ。

 FAXとメールを送付すると、担当が枝野代表に質問状を提示し、得られた回答をまとめたものが返信された。我々の取材に、「若い人たちが政治に目をむけるひとつのきっかけになったとすればありがたいこと」と、やんわりと反論する内容だ。

それでは回答の全文を、何も手を加えずに掲載する。

《▽BUBKAインタビュー記事について

 BUBKAのインタビュー記事の反応については、特別な反応は聞いていない。SNSで拡散された総選挙前の「不協和音を歌いたい」という発言が、若い人たちが政治に目をむけるひとつのきっかけになったとすればありがたいこと。政治家もふつうのオジサンやオバサンだと普段から言っており、趣味のカラオケやアイドルソングについて語ることで、共通点を感じて政治家や選挙に関心をもってもらえばよいと思う。

 総選挙後の取材では、BUBKAだけでなく、東洋経済オンラインや週刊SPA、ファンション雑誌・OVERTUREのインタビュー記事でも、同様にカラオケやアイドル論を語りながら政治についての話をしている。

▽AKBファン歴について

 AKBについてはデビューのときから知ってはいた。新曲が出るたびに聴くようになったのは、飛行機内の映画で「もしドラ」を見て、その主題歌の「Everyday、カチューシャ」を好きになってから。2011年の夏以降。

 アイドル好きでなく、基本的には楽曲(アイドルソング)好き。知人が私の好きそうな曲を入れたiPodをくれて、その中にAKB48も入っていた。中学・高校とコーラス部だったので、ハモる曲は好き。》

 枝野代表の回答は、これが全文である。皆さんは政治家として“適切な”振る舞いについて、どうお考えになられるだろうか。こちらは重みがない政治家という気がしますけれども……。

週刊新潮WEB取材班

2018年1月13日掲載

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