あなたはまだ「滋賀県」を知らない 平均寿命でトップに躍進、鮒ずしだけではない琵琶湖の賜物

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あなたはまだ「滋賀県」を知らない(上)

 滋賀県が男性の長寿日本一に躍り出た。もちろん、ご存じの方が多かろうが、では、あなたは滋賀県のなにを知っているか。日本一の湖があるだけではない。そこには伝統的な食生活から日常の行動様式まで、長寿につながる知られざる秘訣が、山とあったのである。

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 古来、滋賀県は長寿と縁があるらしい。

「むべ」をご存じか。いまの近江八幡市を訪れた天智天皇が、出会った老夫婦に元気なわけを尋ねると、「無病長寿のむべを食べているからだ」との返答で、食べてみた天皇は「むべなるかな」と言った。そんな言い伝えがあるむべは、いまも近江八幡で栽培され、「前出のむべ園」を営む前出幸久さん(83)によれば、

「中国では漢方薬としても使われるそうなので、体にいい成分も入っているんじゃないでしょうか」

 また、湖南市の山間には長寿寺、近江八幡市の山上には長命寺という古刹があり、とりわけ後者の境内から見下ろす琵琶湖は、絶景と呼ぶにふさわしい。

 事実、琵琶湖の恵みの賜物なのか。厚生労働省は先月、都道府県別平均寿命を5年ぶりに発表したが、男性の長寿で滋賀県が、1990年からトップを独走していた長野県を抜いて1位に躍り出たのである。女性は4位だが、1位の長野県とは僅差だった。滋賀県健康寿命推進課に尋ねると、

「強いていえば、各市町村が健康増進計画や食育計画に取り組んできた結果でしょう。また5、6年ごとに健康に関する大規模な調査をし、結果を分析して取り組みに活かしています。スポーツをする人口が非常に多いことも影響しているかもしれません」

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