今度はギリシャ悲劇に「蒼井優」の役者冥利

芸能 週刊新潮 2017年12月28日号掲載

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『アンティゴネ』。読んだことはなくても、名前くらいは知ってますね。

 ソポクレスが書いたギリシア悲劇の代表作。悲劇と言うからには、理不尽な世を生きる人生を“修行”と心得た主役が、行き過ぎた修行で命を落とすという筋書きは不変。これをフランス人作家ジャン・アヌイが『アンチゴーヌ』という戯曲に翻案。筋が少しだけ単純化されている。

 そのアンチゴーヌ役に、蒼井優(32)が挑戦する(演出・栗山民也、新国立劇場、1月9〜27日)。

 エッセイストの森綾さんが言う。

「役者冥利に尽きるのでは。インタビューした時も、言葉使いが非常に明確。腹が据わっていて、頭のいい印象。“この監督、この演出家と仕事がしたいと思ったら、自分から売り込む”とおっしゃっていました」

 10月に封切られ、今も上映される映画「彼女がその名を知らない鳥たち」では、“クズ男”阿部サダヲを相手に“イヤな女”を演じ切って観客を唖然とさせた。

 さる大手映画製作会社のプロデューサーが言う。

「あの役には最後まで何の共感も感じられなかったと話していました。でも、そういう役柄を演じ切る時に女優は薄皮が剥がれるように成長するものです。次のアンチゴーヌは“体当たり”の演技だけでは演じられない難しさがある。試金石です」

 彼女の歩む恵まれた女優人生はその人柄に依ると言われる。

「山田洋次監督ファミリーにも大事にされていて、しっかり者の娘のような立ち位置です。若い頃の桃井かおりさんのような凄味のある存在感と子どものような純粋さが老若男女を問わず、魅力なのでは」(森さん)

 悲劇のヒロイン役にも期待が持てそうです。