日本人初!「ジョン・マドックス賞」で注目される薬害騒動のゆくえ

社会2017年12月26日掲載

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 医師でジャーナリストの村中璃子さんが、イギリスの科学誌「ネイチャー」などが主催する「ジョン・マドックス賞」を受賞した。村中さんは、子宮頸がんワクチンの安全性を検証・発信してきたが、その功績が認められての受賞となった。日本人では初めての受賞となる。

 子宮頸がんワクチンは世界の約130カ国で使われており、2013年4月から日本でも定期接種が始まった。しかしワクチン反対派から「薬害が発生している」との抗議が相次ぎ、同年6月から「積極的勧奨」が見送られている。

 子宮頸がんワクチンをめぐる薬害騒動は、村中さんの著作『薬害でっちあげ あまりに非科学的な子宮頸がんワクチン阻止運動―』に詳しいが、厚生労働省がいまだにはっきりとした最終判断を示していないこともあり、これまで村中さんの啓蒙活動を大々的に取り上げるメディアや学会は非常に少なかった。

 しかし、今回の「ジョン・マドックス賞」受賞で、これまで様子見を決め込んでいたメディアも、北海道新聞、産経新聞、朝日新聞、東京新聞などが村中さんの受賞と業績を報じた。

 ところで、「ジョン・マドックス賞」とは、どれほどの権威がある賞なのか。かつて「ネイチャー」誌の日本語翻訳に携わり、『科学嫌いが日本を滅ぼす――「ネイチャー」「サイエンス」に何を学ぶか』(新潮選書)の著者もある科学作家の竹内薫さんに話を聞いた。

「本でも詳しく書きましたが、イギリスの科学誌『ネイチャー』は、アメリカの『サイエンス』誌と並び、科学界では絶大な影響力を誇っています。賞に名前が冠されている故ジョン・マドックスは同誌の編集長を通算20年以上も務めた超有名人で、イギリス王室からサー(Sir)の称号も与えられました」

「『ネイチャー』の特徴は、その果敢なジャーナリズム精神。マドックスは、『科学は科学だけで終始しない。政治や経済とも密接にかかわってくる』という考えのもと、政府にも、一流の科学者にも対等の立場から直言を続けてきました」

「ジョン・マドックス賞の対象は、『公共の利益に関わる問題について健全な科学とエビデンスを広めるために、障害や敵意にさらされながらも貢献した個人』。薬害論争の渦中にある村中さんに敢えて賞を与えるというのは、いかにもマドックスの果敢なジャーナリズム精神を引き継ぐ賞らしいですね」

 村中さんが国際的な権威のある賞を受賞したことで、日本でも子宮頸がんワクチン接種が普及する方向へ向かうのだろうか――。

デイリー新潮編集部