またもアメリカ・ファースト トランプの「エルサレム」首都認定

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 トランプ米大統領は12月6日、イスラエルの首都をエルサレムと認め、米大使館を同国の商都テルアビブから移転させると宣言した。

「まさに世界中から総スカンです。8日に開かれた国連安保理の緊急会合でも、米国を除く14理事国すべてが反対や懸念を表明。ペンス副大統領が中東を歴訪予定ですが、パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長他、各国首脳が会うことさえ拒否しています」(外信部デスク)

 パリ協定脱退のときのように、各国から非難されてもすぐに実害はないだろう、任期中は誤魔化せる、とトランプ氏は踏んだのだ。

「トランプ支持層の多いキリスト教右派、とくに福音派の人々は今度のトランプの決断に好意的。来年の中間選挙も睨んで、またもやアメリカ・ファーストなのは確か。大使館を現実に移転するまでは時間もあると考えたようです。しかし、宣言翌日から中東各地で衝突や暴動が頻発。11日にはニューヨークでもテロ未遂事件がありました」(同)

 大統領の小知恵、サル知恵は通用しなかった。

「すべて予想できたこと。言葉は悪いですが“イカレてるな”と思いましたよ」

 と話すのは、中東事情に詳しい現代イスラム研究センター理事長の宮田律氏。

「一神教の機微は日本人には分かりにくいですが、イスラム教徒にすれば、聖地エルサレムをユダヤ教徒の国の首都とは認められない。まさに譲れない一線で、その証拠に、因縁の発端である中東戦争には参加していない非アラブのトルコやイラン、東南アジアのインドネシアなどのイスラム国家でも各地で大規模な反対集会が開かれています」

 トランプ氏はパンドラの箱を開けてしまったのだ。

週刊新潮 2017年12月21日号掲載

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