満島ひかり、キョンキョンたちの計画の全貌明らかに! クドカン・マジック爆発「監獄のお姫さま」第9話

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女囚たちを招集したふたばの真意

 ふたばは、彼女にとっても思い入れのある折り紙の手裏剣というアイテムに秘密基地の地図を託し、カヨ(小泉今日子)、千夏(菅野美穂)、洋子(坂井真紀)、明美(森下愛子)に招集を掛けて回る。ふたばが修正してくれた復讐ノートを手に、カヨは秘密基地(現在の板橋の監禁場所でもある)、ガレージでかつての仲間と再会を果たした。そして女たちは、しのぶの冤罪を晴らす5年越しの計画を実現するため絆を確かめ、夜な夜な計画を練る日々を開始したのだった。

 主題歌「Showtime」(安室奈美恵)に乗せて、いかにして女たちが板橋に近づいて布石を打ち、2017年クリスマス・イヴの夜に勇介および板橋を誘拐するに至ったかが明らかになっていく場面の演出は、グルーヴィで最高にスリリングだった。タレントとして復帰し、華麗にテレビで活躍する千夏、元夫から20億円の遺産を相続し資産家になった明美など、それぞれの立場を活かした奮闘。明美の組の若えの(尾美としのり)、検事兼カヨの元カレ長谷川信彦(塚本高史)らを巻き込んで、板橋の秘書に就任した先生総指揮のもと、計画は進む。大きな絵画に掛けられていた白い布がぱっと取り払われ、その姿が明らかになるようなカタルシスがあった。いよっ! と大向こうでも掛けたい気分だ。

 計画の全貌とふたばの真意が明らかになったところで、ガレージにて板橋のプレ裁判が始まった。その中でも、ひときわ目を引いたのが、板橋の妻である晴海(乙葉)の芯の強さだった。
 
 晴海はこれまでかよわい社長夫人として描かれてきたが、潔く状況を受け入れ、プレ裁判を「始めてください」とふたばに促す。しかも「あなた言ったわよね。勇介を2人で育てようって言った時、しのぶさんもそれを望んでるって。だから私はママになる決心がついたの。でも……嘘だったってことよね」と、心からの叫びをぶつけた。そこで、私は今まで勇介をしのぶに返してあげたいとばかり思っていたけれど、晴海には晴海の勇介との3年があること、勇介を思う晴海の心の優しさに、初めて思い至った。晴海も、女囚たちと同じく勇介のかけがえのないママなのだと気づかされた。年齢を重ねてもお嬢様らしい外見を失わない乙葉は社長夫人役にぴったりだけれど、その愛らしさがひるがえった時の純真な破壊力は、強い。

 それに対して「刑務所だぞ、あの子が産まれたの」と返した板橋は、一度刑務所に入った者には“犯罪者”というレッテルを永久に張り続け、軽蔑しつづけるという差別心をあらわにした。これまでにも見られた板橋のそうした“犯罪者”への差別に対して、元女囚たちが用いてきた掛け声「更正するぞー!」が、しみじみと響く。

 証拠が出るまで認めないとかたくなに言い張る板橋に、長谷川は心当たりがあるから今から沖縄へ行くと言い、ガレージを去った。入れ替わりに現れたのは、タイに帰っていたリン(江井エステファニー)。「先生、連れてきたよ」と言うリンに、いぶかしげな元女囚たちと、にっこり微笑むふたば。リンが連れてきたのは、爆笑ヨーグルト姫事件の実行犯こと、タイ人の“プリンス”!

 いよいよ最終回を迎える「監獄のお姫さま」。ふたばたちはどうなるのか、板橋には判決が下るのか、しのぶは勇介にふたたび会えるのか、そしてカヨと長谷川の恋の行方は……。第9話にして、作品への期待と愛着が最高潮になってしまった。これ、あと1時間で収まるのか?! 最終回、ぜひともお見逃しなく。

西野由季子(にしの・ゆきこ)(Twitter:@nishino_yukiko) フリーランサー。東京生まれ。ITエンジニア10年、ライター3年、再びITエンジニアを経て、永遠の流れ者。実は現代演劇に詳しい。

2017年12月19日掲載

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