日銀「黒田総裁」後任レース 本命・対抗・大穴は

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 1年を締め括る競馬の祭典「有馬記念」開催まで1カ月を切った。競馬ファンの熱気が高まりつつある一方、経済界や、霞が関の住人たちが注目する“レース”の予想も熱を帯びている。彼らが注視するのは、来年4月に5年の任期満了を迎える日本銀行の黒田東彦総裁(73)の“後任人事レース”だ。

 11月初旬、新聞記者たちのぶら下がり取材で日銀総裁の後任人事を問われると、菅義偉官房長官はこう答えた。

「現時点で、交代させる理由が見当たらない。代えて株価が上がるのか」

 官邸の実力者の発言が発火点となり、新聞紙面に“黒田総裁続投も”の活字が躍り始めたのである。全国紙の政治部記者によれば、

「安倍総理も、11月21日の参院本会議で黒田総裁の手腕を“高く評価している”と答弁しました。確かに、公約である2%の物価上昇は果たせていませんが、“黒田バズーカ”により、5年前の第二次安倍政権発足時に1万230円だった日経平均株価は倍以上に跳ね上がっている。それで黒田総裁の“続投”が有力視されているのです」

 ポスト黒田の“本命”が黒田総裁自身ならば、“対抗馬”に名前が上がっているのが中曽(なかそ)宏副総裁(64)だ。経済誌デスクの解説は、

「目下、日銀の経営陣で日銀出身者では、中曽さんと雨宮正佳理事の2人がいる。黒田総裁は次期総裁の条件として“経済理論に対する理解”と、“国際的な人脈”を挙げている。この条件を満たし、黒田さんを支えてきた実績を考えると、中曽さんしかいないと思います」

 中曽副総裁は寡黙な実務家との評判だが、国際的な人脈は日銀内でも他の追随を許さないという。

「中曽さんは国際決済銀行へ出向した際、米連邦準備制度理事会のイエレン議長やパウエル次期議長などと知己を得て、今でも彼らとメールや電話で意見交換をしているそうです。今後の日米関係を考えると、このパイプは大いに武器になります」(同)

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