艶めかしい肢体で魅了… 渥美マリ「いそぎんちゃく」復活上映

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『いそぎんちゃく』『でんきくらげ』、こんなタイトルが大手を振っていた時代。臆面もなく軟体動物シリーズなんて銘打ち、1960年代終りから70年代初めにかけて一世を風靡した。その艶(なま)めかしい肢体に魅せられた男性諸氏がどれほどいたことか。肉体派女優として知られた渥美マリ。彼女の主演作が、12月9日から角川シネマ新宿他で開催の「大映女優祭」にて、リバイバル上映される。

 上京した貧しい娘が自らの肉体を武器に逞しく生き抜く様を描いた『いそぎんちゃく』、シリーズ3作目の『でんきくらげ』、布団の温もり、何より女優の体温が伝わってくるような作品ばかり。

「マリは、68年に18歳で大映に入ったニューフェイス。京マチ子、若尾文子といった本格派女優とはまた違う、当時のお色気路線に乗せるため、無理に咲かせた徒花のような存在でした。水着の撮影会を催したり、大胆な売り出し方をしたものです。でもそれが功を奏し、忽ち男性の圧倒的人気を得るようになりました」

 そう語るのは、元「大映」宣伝部の中島賢(まさる)氏。

 42年に創立し永田ラッパこと永田雅一が率いた大映は、約30年の内に『羅生門』『雨月物語』等数々の名作を生んでいる。しかしテレビが普及し映画離れが進んだ60年代半ば以降は、「大映ハレンチ路線」ともいわれるお色気を売りにした作品が多くなっていった。71年、渥美の急な降板により代役として『夜の診察室』に初主演したのが松坂慶子だ。

 だが、大映の倒産と共に、渥美の人気にも陰りが見え始める。76年のテレビ出演を最後に芸能界から引退。俳優の酒井修との同棲、破局、78年には多量の睡眠薬を飲み自殺未遂を起す等、スキャンダルで世間を騒がせたその後は一切公の場には現れず、死亡説まで囁かれた。

「現在、67歳。都内某所で健在です。ただ美しかった頃のイメージを大事にしたいのでしょう、あえて誰とも会わず、ひっそりと暮しているようです」(同)

 銀幕なら、変らぬ彼女に会える――。

週刊新潮 2017年12月7日号掲載

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