日馬富士暴行事件の原点“錦糸町バー”と“モンゴル料理店”を結ぶ点と線

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錦糸町のバーではテレサ・テン大会

 次は、もう少し騒動に関わる店に潜入してみる。日刊スポーツは11月19日「日馬富士の貴ノ岩暴行問題、始まりは錦糸町での口論」(電子版)の記事を掲載した。

 その中に「捜査関係者らの話を総合すると、発端は秋場所後に東京・錦糸町のバーで貴ノ岩が元幕内の先輩力士らと口論になったことがきっかけ」と書かれている。

 関係者に取材すると「錦糸町のバー」の所在地が分かった。さっそく現地に向かうと、ウクライナ人(?)的な白人美人が客引きをしているような一角にたどり着いた。

 少し道に迷ったが、店の前にたどり着くと、窓も入口もカーテンで覆われている。記者は困惑したが、勇気を出してドアを開けると、カウンターの中にいた若い男性が「どうぞ」と応対してくれた。

 着席しておしぼりで手を拭くと、カウンターだけはバーという雰囲気。しかし壁際にはボックス席が並び、ややクラブ・スナックっぽい雰囲気もある。

 カラオケの画面には、どう見てもモンゴル語の文字が映し出されている。メニューもモンゴル料理で、「モンゴルウオツカ」もある。「モンゴルバーだったのか」と記者は驚いた。

 記者が入った時から着席していたのは日本人男性と国籍不明の女性のカップル。しばらくすると、モンゴル人と思われる女性2人がボックス席に座った。後者については記者が、ちらりと首を後ろに回して盗み見たが、相当な美女に見えたそうだ。

 この女性3人が揃ってカラオケのリモコンで曲を入力し始めた。モンゴルの歌が聴けるのかと期待すると、流れてきたのはテレサ・テン。日本滞在中に覚えたのか、モンゴルでも有名なのか、国籍不明の女性も加わって、3人は「つぐない」「愛人」「空港」などを見事に歌い上げていく。少しだけ日本語が拙いのだが、それがまた本家テレサ・テンを思い出させる。記者は思わず聴き入ってしまったという。

 記者は最初、モンゴルビールを注文したが、その味は驚くほど日本のビールに似ていた。顔だけでなく、味覚も共通点があるのかもしれない。飲み干すとモンゴルウオツカに惹かれたが、泥酔が怖くてウィスキーの水割りを頼んだ。

 しばらくすると突然、入口が空き、素面の日本人男性が「白馬さんはいますか?」と声をかける。記者は驚いて聞き耳を立てる。

 多分、同業者なのだろう。カウンター内の男性(彼もモンゴル人だと後で気づいた)が「いません」と追い出そうとするが、男性は更に食い下がる。「白馬さんはモンゴルですか?」と問いを重ねるが、男性従業員が「分かりません」と答えると、諦めて出て行ってしまった。

 ここに長居しても収穫ゼロと判断し、記者は会計を依頼した。

 後で調べてみると、両国のモンゴル料理店と錦糸町のバーは、同じ元白馬関が経営していると、複数のサイトに紹介されていた。思わぬ形で「点と線」がつながったわけだが、料理は美味しく、店の雰囲気も底抜けに明るい。今回の騒動の舞台とは信じられない、と潜入記者は首を傾げていた。

週刊新潮WEB取材班

2017年11月28日掲載

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