口内だけじゃない「歯」のトラブル… 歯周病菌が「認知症」「大腸がん」を招く!?

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肺炎、大腸がんも…

 歯周病はまた、肺炎の発症にも深く関わっている。

「一つは血行性肺炎。体内の血液は肺に一度集まるので、血液に細菌が侵入すると肺にまで届いてしまう。二つ目は誤嚥性肺炎で、就寝中など知らぬ間に気道から唾液を誤嚥してしまう不顕性誤嚥というものです。口腔内細菌が集まって塊となった多糖体『バイオフィルム』には約700種類の細菌がいるとされます。唾液は就寝中に分泌がストップし、その浄化作用が働かなくなるため、細菌は一晩で1000倍ほどに増殖してしまうのです」(同)

 繋がりは尽きない。再び松下部長は、

「末梢動脈に炎症を起こすバージャー病についても、病巣から数種類の歯周病菌が発見されたとの報告があります。また近年、口腔内細菌が直接、他の臓器に影響を及ぼす可能性が指摘されている。食物と一緒に消化管の中に移ると大半は胃酸で死滅しますが、生き残った菌は大腸などに定着して腸内環境を乱すのです。ここで毒素が発生し、腸の炎症や腸管の障害を生じさせるおそれもあります」

 別の研究では、

「歯周病原菌の一つであるフゾバクテリウムヌクレアタムという菌が大腸がんの原因ではないかとされています。というのも、腸内では時々がんに変異する細胞が発生し、通常は免疫系の細胞が抑え込みますが、この菌が腸内に入ると免疫系細胞を減少させたり、機能を低下させたりしてしまうのです」(同)

 まさに諸悪の根源である。

週刊新潮 2017年11月23日号掲載

特集「『百寿者』目標なら歯が命! 最強『デンタル・ドック』のすゝめ」より

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