緊急寄稿 大衆扇動の「小池劇場」に熱狂「B層」が日本を亡ぼす――哲学者 適菜収

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 ここは小池さんに改革を任せるしかない。“愚民”である「B層」は言う。まるでそれが最新の流行(はや)りであるかのように。だが彼らはこの25年間、「改革ごっこ」が繰り返されてきたことに思いを馳せようとしない。哲学者の適菜収氏が、B層が跋扈(ばっこ)する世相を斬る。

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 小池百合子には環境相時代に提唱した「クールビズ」が成功体験として残っている。でも要するに「薄着」でしょう。どうでもいいような言葉をわざわざ横文字にする。日本語に対する愛がないんです。

 安倍晋三による衆院解散は「クエスチョンマーク」で、これまでの議論を「アウフヘーベン」すると小池は言う。こういうものに騙されるのが、三度の飯より「改革」が好きな「B層」です。

 日本人の「改革好き」は戦前、戦中、戦後を貫いており、基本的に無知と忘恩に起因する。NHKの大河ドラマでも毎年のように維新だの「新しい国をつくる」だのと「革命モノ」が持て囃されている。B層は正義の味方が悪い奴を倒すという紙芝居が大好きです。

 この四半世紀を振り返ってみても、政治家は口を開けば「改革」ばかり。小沢一郎は「守旧派」をでっちあげ、小泉純一郎は「抵抗勢力」に刺客を送り、民主党は官僚を悪玉に仕立て上げた。その結果、日本はどうなったんですか?

 政治の劣化の延長線上に安倍政治も「橋下劇場」も存在する。

 小池が言っていることも、これまで繰り返されてきたマニフェストだのアジェンダだの船中八策だのとほとんど代わり映えしない。要するに絶望的に古いんです。

 B層とは私の造語ではなく、2005年9月のいわゆる郵政選挙の際、小泉・自民党政権下の内閣府が広告会社スリードに作成させた企画書「郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略(案)」による概念です。構造改革に肯定的でIQが低い層、ひいては「近代的諸価値を妄信するバカ」「改革幻想に囚われている人々」ですね。

 地道に議論を積み上げて国民に訴えるより、こうしたB層を扇動すれば選挙で勝てるというマーケティングの論理が蔓延(はびこ)ることにより、日本の政治は劣化してきました。

 小池がやってきたことも普通に見れば無茶苦茶でしょう。市場移転問題では科学的事実、専門家の検証に難癖をつけ、都民の不安を煽り、「総合的な判断で決める」などと言いながら、移転を先延ばしし、税金をドブにぶち込んだ。徹底した「情報公開」を謳いながら、すべての政策を密室で決める。都民ファーストの都議にはメディアの取材に答えないよう箝口令を敷き、都民には密告を奨励する。気に入らない部下は「粛正」する。だから、都庁内における小池の評価は最低です。

 小池は自分はAIだと言いましたが、たしかにそこには人間に備わる良心がない。冷徹で非情で傲慢で卑劣。世の中を混乱に陥れても、反省することはない。

 B層はなぜこうしたいかがわしいものに何度も騙されるのか?

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