お得すぎる優待セール 「三陽商会」デジタル入場券廃止の原因は“メルカリ”か“中国人”か

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メルカリなどへの流出

 日本人の場合、どれほどの“利ザヤ”が稼げるかは分からないが、中国人の場合は、どんなに格安航空券を使ったとしても、渡航費はそれなりの費用がかかる。確かに“バイヤー”に買ってもらった方が絶対に安いだろう。そして三陽側にとって、セールに足を運んでもらう客が本筋なのは言うまでもない。防止策として“入場資格”を厳格化することは、理にかなっているはずだ。

 以上の経緯を踏まえ、三陽商会に取材を申し込むと、文面による回答が、メールで送られてきた。これによると、そもそも各種セールは《子会社のサンヨーアパレルが運営しており、同社が管理している顧客の皆様に入場券を送付》しているという。

 それがバーバリーブランドの取り扱いが終了となり、セールの来場者が減少。テコ入れを行おうと、三陽商会のECサイト「SANYO iStore」の顧客にも来場してもらうため、入場券をデジタル配信することにしたという。

 だが、これが仇となった。同社の回答文を引用する。

《その結果、SNSを介して、デジタル配信した入場券が非常に拡散し、当社では都度対策を講じて参りましたが、入場時のトラブルが絶えなかったため、今月をもって、このデジタルチケット配信の中止を決定いたしました》

 デジタルだから、“複製”は極めて容易だ。社員家族セールの場合、「①紙の入場券時代からの常連に送られるメール入場券」、「②ECサイトの顧客に送られたメール入場券」、「③常連でもECサイトの顧客でもないのに、SNSで拡散したデジタル入場券」の3種類が出回ったわけだから、これは問題視されて当然だ。

 三陽商会は回答の中で、来場者への謝罪も行っている。

《この決定までの過渡期に開催しました前回セールの来場者の皆様へは、次回以降もセール券をお配りしたく、失礼ながら、セール会場で会員登録をお願いした次第です。特に規制強化という事情ではございませんので、その旨ご理解いただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます》

 現在、検索エンジンで「三陽商会」の社名に加え「株主優待セール」や「社員家族優待セール」の文言を入力すると、メルカリなどで紙の入場券が売買されていることが分かる。

 しかし今回、三陽商会はセール来場者の名前と住所を把握し、次回以降は紙の入場券を送ると決めた。上記の通り、今後もメルカリなどへの流出が再燃する可能性も考えられる。だが9月に登録を行った顧客は実際に会場へ足を運んで買い物をしているわけで、どんなルートで入場券を手に入れようと、とりあえずは一律で優良顧客とみなすということだろう。

 顧客サービスとして優待セールを行うならば、デジタルの特性もよくよく鑑みたうえで、不公平感のないような施策を行ってもらいたいものだ。

週刊新潮WEB取材班

2017年10月13日掲載

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