“災害時の活躍ばかり礼賛”はおかしい――「現役自衛官」たちが語る本音

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敵の軍隊と殺し合う…

海自A それは仰る通りです。でも現場ではとにかく任務が増えすぎて、慢性的に人が足りない状況です。いい加減、自衛隊を憲法にきちんと位置付けて、やる気のある若者にどんどん入ってきてもらわないと組織がもちません。海自では大型艦艇が次々と就役していますが、乗組員は増えないので実態はカツカツです。

陸自D とはいえ、憲法を変えても入隊希望者は急には増えたりしませんよ。最近、陸自では「震災で自衛隊に助けてもらったから」という志望理由で入隊してくる隊員もけっこういるんです。そういう子に会うと、「やっぱりおれたちは国民に認められているんだ」と嬉しくなります。それは憲法がどうこうではなく、我々の先輩方が連綿と積み上げてきた、国民からの信頼の証じゃないですか。

海自A 良い話ですね。だけど私は少し違和感を覚えます。確かに災害派遣も自衛隊の「従たる任務」のひとつですし、国民の命を守るという点では、防衛出動も災害派遣も重みは一緒です。ただ、だからと言って、外国の侵略を排除するという自衛隊の「主たる任務」を忘れてはいけません。災害時の活躍ばかりが礼賛されて、「有事には敵の軍隊と殺し合う自衛隊」という側面を直視しないマスコミや国民の態度はおかしい。「人助けがしたくて入隊しました」という隊員であっても、有事の際は敵兵を撃ってもらわなきゃ困ります。

陸自B その点は海自さんに同意します。人命救助は警察や消防、海上保安庁でもできる。だけど国防は自衛隊だけに託された崇高な任務です。

 ***

(3)へつづく

週刊新潮 2017年9月21日菊咲月増大号掲載

特集「憲法改正に陸海空『現役自衛官』が緊急座談会 安倍総理の『9条加憲案』に意味はあるか」より

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