“災害時の活躍ばかり礼賛”はおかしい――「現役自衛官」たちが語る本音

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国民からの“眼”

空自C いまや東大卒の自衛官だって珍しくないですから、時代は変わりましたね。

海自A 旧軍の士官学校は東大京大と並ぶ難関だったし、諸外国では軍の将校は国家のトップエリート層です。戦後日本が異常なんですよ。私も一般の大学を卒業して幹部候補生として自衛隊に入隊しましたが、親には「せっかく大学まで行かせたのに、なんで自衛隊なんかに入るんだ」と嘆かれました。

空自C 海自Aさんは東京出身でしたよね。都会の人は自衛隊に馴染みが薄いんでしょう。私は実家が九州ですが、クラスメートで自衛隊に入った人間も多いし、親にも安定した職業だと喜ばれました。

空自E 私は東北地方の出身で、80年代に沖縄の基地に勤務したことがあります。当時は今ほど中国が脅威だと思われておらず、むしろ主敵はソ連で、想定される主戦場は北海道だった。ところが沖縄では、毎日フェンスの外で反対派が「基地反対!」と叫んでいましてね。「お前らを守りに来ているのに、南の島の人間は呑気なもんだ」と憤りを感じていたものです。

空自C 空自Eさんには悪いけど、まず「ソ連」という単語に世代の差を感じます。

空自E以外 (笑)

空自E ある時、同僚たちと基地近くの居酒屋に入ると、店内で“反対派”の連中が酒盛り中だった。はじめはお互い無視して飲んでいたのですが、しばらくするとこっちも酔っ払ってきて、嫌味のつもりで「毎日ご苦労様です」と話しかけてみた。そしたら向こうの一人が「まあ、おれたちもバイトだから」と言うんで拍子抜けしたね。

陸自B 彼らはお金で雇われてたってことですか?

空自E そうだね。沖縄は70年代に本土復帰したばかりで、高度経済成長に突入していた本土とは経済格差がありました。貧しい人も多かったでしょ。かくいう私も、思想信条などは何もなく、ただ体一つでお金がもらえて、衣食住が保証されるという理由で自衛隊に入隊したクチです。「こいつらもおれと変わらんなあ」と思うと急に親近感が湧いてきて、その晩は一緒に飲み明かした。ま、彼らは翌日にはまたゲート前で「基地反対」って叫び続けるわけだけど(笑)。

海自A 沖縄の基地反対運動は今もありますが、そういう牧歌的な話は聞きませんね。むしろ空自Eさんのいた頃より殺伐としている気がします。中国の動向を考えれば、沖縄は当時より遥かに危険なはずなのですが。

空自E 基地の騒音問題などは確かにあり、地道に地元と交流して理解を深めてもらうしかないんだろうね。憲法を変えたからって急に反対派が自衛隊を好きになってくれるわけじゃない。

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