「インスタ映え」の名勝で死亡事故… 続出する“中毒者”トラブル

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レコード店の珍客

 傍若無人なインスタ中毒者は、洋の東西を問わず跋扈している。例えば飲食店。東京・四谷にある日本酒専門の飲食店「鎮守の森」の村田哲太郎オーナーに聞くと、

「酒や料理を撮影するお客さんが増えたことで、知らずに別のお客さんが写り込んでしまい『ネットに載せられて困った』という声がこれまで数回寄せられました。現在はメニューとともに『撮影時にはひと声かける』『他の客を写さない』との一文を載せて注意を促しています。たとえ酒が入っていても、そうしたトラブルを引き起こす人は、周囲に迷惑をかけてはいけないという社会常識が欠如しているのだと思います」

 春先には、都内の有名ラーメン店が客の振舞いに業を煮やし、

〈ラーメンがたべたいお客さんだけ来てくれればそれでいい〉

 と、ツイッターで“宣告”し、店舗内の撮影禁止に踏み切って話題を呼んだこともあった。

 インスタの餌食となるのは、食べ物だけとは限らない。

〈写真を撮ってすぐに出ていく女性客が多い〉

 7月9日にツイッターでこうつぶやき、6000件以上もリツイートされた、奈良市にある「ジャンゴレコード」の松田太郎店主も、

「若い人がレコードに興味を持ってくれるのはとても有難いのですが……」

 としながら、こう漏らす。

「今年の春先から、10代後半ぐらいの女の子が2、3人でやってきて、無言のまま写真だけ撮って帰るということが5回ほど続きました。レコードが珍しいのでしょう、1人がラックの中を探すポーズをして、友人がそれを撮る。時間にして1分ちょっとですが、せっかくなら、タイトルやジャケットも見てくれればと思います」

 写真の見映えと“いいね!”の数。それが青春というわけか。

 ***

(下)へつづく

週刊新潮 2017年9月21日菊咲月増大号掲載

特集「『インスタ映えの名勝』に死す 『自撮り命』のメッカで落命した『プロポーズ青年』」より

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