安倍総理が甦らせた「マッカーサーへの忖度」 占領秘史が示す加計・森友問題の“原点”

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「安倍総理」が甦らせた「マッカーサーへの忖度」(上)

 森友学園や加計学園疑惑で、俄かに注目された「忖度」という日本語。外国人には分かりにくいこの概念は、安倍晋三総理のみならず権力者の下で働くものだ。もっとも、日本人の忖度を最大限に利用した人物がいる。GHQの最高司令官のD・マッカーサーである。ジャーナリストの徳本栄一郎氏が発掘する「忖度の戦後史」――。

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 戦後の混乱期に無頼派作家として活躍した太宰治に「苦悩の年鑑」という作品がある。明治末期に東北の田舎に生まれた太宰が大正から昭和に至る時代の思い出を書き綴った文章で、次のような書き出しから始まる。

「時代は少しも変らないと思う。一種の、あほらしい感じである。こんなのを、馬の背中に狐(きつね)が乗ってるみたいと言うのではなかろうか」

 太宰は敗戦から3年後、まだ30代の若さで愛人と入水自殺を遂げるのだが、もし今、彼が生きていてこの国を見れば同じ台詞を口にするのではないか。

 今年に入って発覚した二つの学校法人を巡る問題は安倍政権を直撃してきた。大阪の「森友学園」が豊中市に計画した私立小学校への国有地売却、そして岡山の「加計学園」が愛媛県今治市に開設をめざした獣医学部の設置認可、その裏に安倍総理夫妻や周辺からの圧力があったのではとの疑惑である。

 国会でも連日、野党の追及が続いてきたが、そこで一躍注目されたのが「忖度」という言葉だった。格安での国有地売却や国家戦略特区での獣医学部認可に財務省や内閣府、文部科学省などの官僚が総理の意を受けて便宜を図ったのでは、との指摘だ。前川喜平前文部科学事務次官は加計を巡る行政が官邸の圧力で「歪められた」と証言し、森友の件を国会で質問された安倍総理は、もし自分や妻が関わっていたら「総理大臣も国会議員も辞める」とまで断言した。

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