ICBM実現 「北朝鮮科学者」技術力急伸のワケ

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 経済的には最貧国。だが、そんな国が、核・ミサイルの技術力を急激に伸ばしているのは何故か?

「1990年代には、崩壊した旧ソ連の科学者たちをスカウト。若い学者の教育にも当たらせ、2000年代からは、かなりの人数を中国へ留学させています」

 と話すのは、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏。

「その当時の若者が、今や主力の中堅以上になった。開発現場に科学マインドもある程度定着。長年の蓄積が形になってきた、ということですが、米露中とはまだ格段の差があります」

 金正恩政権になってからは、配給の優先など、科学者、技術者の待遇もかなり上がっている。

「兵器開発の中心は、平壌(ピョンヤン)市北郊の龍城(リョンソン)区域にある国防科学院や、市境を接する平城(ピョンソン)市恩情(ウンジョン)区域の国家科学院。総員で5万人以上とも言われ、こうした研究機関の隣接地には、数年前から“銀河科学者通り”“衛星科学者通り”などと名づけた立派な住宅街を優先して建設。これを国外にも喧伝しています」(北朝鮮ウォッチャー)

 式典などで、金正恩の側に誰がどういう順番で並んでいるかは、北朝鮮ウォッチのいろはだが、そこにも異変があった。

「ICBM実験成功4日後の7月8日は、国父・金日成の命日。金正恩はその廟である『錦繍山(クムスサン)太陽宮殿』を訪問しました。問題は公開されたその時の写真。正恩のすぐ左右に並んでいるのは、党や軍の席次の高い幹部ではなく、国防科学院長の張昌河(チャンチャンハ)と軍需部門の責任者である李炳哲(リビョンチョル)党中央委員会第一副部長。他にも科学技術部門の幹部が前に出てきています」(同)

 叔父でも残忍に粛清する人物だが、合理的なところもあるようだ。

週刊新潮 2017年7月27日号掲載

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