藤井聡太、高校進学に迷い 詰まされそうな母との“盤外戦”

社会週刊新潮 2017年7月13日号掲載

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■9割は進学へ

 とはいえ、初の敗戦でも、勝率はまだ9割7分。今後の四段は、50年間も破られず、棋界で「不滅の記録」と言われる年間最高勝率(=8割5分/中原誠・十六世名人)更新の可能性も十分だ。

 そうなればますますの過密日程が待っているが、そこで問題となるのが、冒頭の「進学問題」なのである。

「藤井クンは、相当悩んでいますよ」

 と言うのは、彼のごくごく近しい知人。

「この数カ月、周囲には、しばしば“どうすればいいのか?”と相談しています。彼はとにかく将棋一筋で、学校の宿題も拒否して先生に説得されたほど。義務教育は仕方ないとして、その後は将棋以外に時間を割きたくないのでしょう」

 実際、四段と関係者との間では、最近、こんな会話が交わされたという。

「高校に行く必要があるんですか」

「うーん、でも、友人とかが作れるじゃない?」

「なるほど……」

 前述の知人が続ける。

「そうは言ったものの納得している様子ではなく、その人は“藤井クンは進学する気はないんだな”と思ったそうです」

 もともと、昭和の時代には、棋士は中卒が当たり前。将棋に学歴は不要、そんな暇があるなら、将棋を指すべし、との考えが主流だった。

 しかし、

「今は(プロ養成機関の)奨励会員のうち9割ほどが高校進学しているのでは」

 と言うのは、弟子多数、「名伯楽」として知られる、所司(しょし)和晴七段だ。

「短期的なことを考えれば、研究専念のためには進学しない方が良い。一方、中長期的に見れば、規則的な生活が出来る、将棋以外での友人が増えるなど、進学にもメリットがあるのです」

 また、「藤井以前」の中学生プロ棋士を見ると、加藤一二三九段、谷川浩司九段、羽生善治三冠、渡辺明竜王と、いずれも高校を出ている。

 こうした流れもあってか、将棋ライターの松本博文氏によれば、

「藤井四段のお母さんは、高校まで行かせたいという気持ちを持っています。今の学校を選んだこと自体、中高一貫で、受験に煩わされることがないという理由だったそう。ただ、もしこのペースで対局が続けば、中学はともかく、高校ではある程度の出席日数が必要なため、両立が難しくなってくる。そこを心配していました」

 本誌(「週刊新潮」)がかつて藤井四段の母に取材した時も、はっきり「高校は出てほしい」と述べている。

 藤井四段にとって、この夏休みは、「家族会議」の連続となるかもしれない。もっとも、母が反対ということであれば、いくら最強の四段とはいえ、形勢は厳しそうであるけれど――。

「確かに悩ましい問題ですね」

 と言うのは、藤井四段の師匠・杉本昌隆七段である。

「行くのも行かないのも、長所と短所がある。学校との話し合いも必要ですし、まだ簡単に決められる問題ではありません。ただ、人生は一回きり。どちらを選んでも最終的には本人が選んだ道が最善手ということなのだと思います」

 この年齢で進学に悩むこと自体、早熟の何よりの証拠。

 今月19日で15歳を迎える藤井四段だが、沸き起こる騒動ひとつひとつが、みな彼の「天才」を証明して余りあるものなのである。

特集「『高校に行く必要があるんですか?』『藤井聡太』が詰まされそうな進学問題 対局相手は母『盤外戦』」より

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