「豊島区」待機児童ゼロ達成 “消滅”の悪評打ち消す

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高野之夫・豊島区長は79歳

 どこぞのニュース番組よろしく、♪ゼロ~、と安易には言えないようだ。依然として、政府が待機児童ゼロを達成できない中、意外や意外、東京は豊島区が実現したという。23区では千代田区に続き、2番目だ。厚労省担当記者の話。

「政府は当初、2017年度末までに待機児童を解消するとしていましたが、現状では減るどころか、増えてしまっている。安倍総理も2020年度末までと目標を延期させました」

 その最中の“ゼロ”である。保育園に詳しいジャーナリストによれば、

「豊島区はかつて待機児童が多いとされ、保活するママの間で評判はさほど良くありませんでした。さらに、2014年、20代と30代の女性が30年間で半減する“消滅可能性都市”と指摘された。子育てのため、豊島区から別の区へ引っ越す家族もいたほどでした」

 その悪評を打ち消した格好なのだから、豊島区の担当者はほくほく顔である。

「3年間で、認可保育所を22カ所、小規模保育所を13カ所新設し、定員を2028名分増やした。主にビルの空き事務所や民間の駐車場を活用したのです」

 だが、ここには“数字のからくり”がある。先のジャーナリストが指摘する。

「認可ではない臨時の保育所に預けたり、希望していない園を勧められたものの通勤ルートから外れているなどの理由で入園を断った世帯の児童、いわゆる“隠れ待機児童”が135名いるのです」

 これについて区は、

「そうした方のご事情は様々ですが、この園じゃないとダメというこだわりをお持ちの方もいます。ただ、認可外に預けている方もいるので、今後減らしていかなくてはならないと思っています」(先の担当者)

 ゼロを導き出す計算式は複雑である。

週刊新潮 2017年6月15日号掲載

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