菅官房長官の「前川個人攻撃」全発言録 オフレコで“彼は異常だよ”

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■霞が関の「絶対王者」

「(前川発言が世間に受け入れられるのであれば)私も出会い系バーに『実地視察調査』に行っていいことになるね」

「それにしても、よくあんなことが言えるよ。彼はその出会い系バーに、50回も、100回も、繰り返し行ってるんだよ。店に出入りしたのが1回ならまだ話は分かるけどさ」

「彼は異常だよ。とんでもない輩だ。だって、そういうこと(性交渉)を目的に店は客を集めてるんでしょ。そこで小遣いをあげている……。文科事務次官の立場にある人が最もやってはならない行為でしょ」

 前川氏のことを、「性なる事務次官」と言わんばかりに蔑(さげす)んで見せていたのである。

 仮にも文科省の事務方トップだった人間を、陰に陽にここまで執拗に「口撃」して動じる様子を微塵も見せない菅氏。それは、目下の霞が関において、彼が「絶対王者」として君臨しているからこそ可能なことだと言えよう。実際、

「霞が関の官僚に、今、政治家で一番怖い人は誰かと訊(き)くと、安倍総理でも二階さん(俊博・自民党幹事長)でもなく、口を揃えて菅さんの名前を挙げます」

 と、全国紙の政治部デスクが解説する。

「彼の力の源泉は『人事』です。2014年に内閣人事局が設置され、霞が関の幹部官僚人事は、全てここで決められる制度になりました。この内閣人事局を事実上仕切っているのが、内閣官房のトップである菅さんです。彼はさまざまな省庁の人事に口を出す。現に菅さんがかつて大臣を務めた総務省の事務次官人事は、彼の一言で覆ったと言われています。官僚は皆、菅さんには逆らえません」

 政治アナリストの伊藤惇夫氏が警鐘を鳴らす。

「官僚人事を政治主導で決めるという目論見自体は否定されるべきではない。しかし、その運用が問題です。『内閣人事局があるとはいえ、ヒラメになるな』と、時の総理が指示を出すなどしなければ、官僚が怯(おび)えるのは自然の理。また制度面でも、内閣人事局のトップが官邸側の政治家である以上、官僚が官邸の意向を斟酌し、忖度する状況が生まれるのも当然。事実、森友問題や加計学園問題が生じている。そして現在、内閣人事局を実質的に動かしているのは菅さんなのです」

 人事を餌に、官僚の心をいいように弄(もてあそ)ぶ。スガスガしさの欠片もありゃしない。

特集「『安倍官邸』一強で日本が失ったもの」より

週刊新潮 2017年6月8日号掲載

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