ヒトラー役の名優が「ハイジ」のおじいさんに 今夏公開

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 な、なにをなさっているんですかっ、総統閣下!

 試写会場ではスクリーンを見つつそう思ってしまう映画関係者が多いとか……。

 この夏、公開されるスイス・ドイツ合作映画「ハイジ アルプスの物語」は、日本ではアニメで名高い「アルプスの少女ハイジ」の実写版だ。

 ハイジに扮するのは、500人の中から選ばれ、この作品が映画デビューとなるアヌーク・シュテフェンちゃん(撮影時9歳)。そして彼女と山小屋に暮らすおじいさんには、「ベルリン・天使の詩」(1987年)や近年では「ヒトラー~最期の12日間~」(2004年)でヒトラーを熱演して絶賛された名優ブルーノ・ガンツ(76)なのだ。

「やはりヒトラーのイメージが強烈に残っている方が多いらしいんです。私も彼がハイジを抱きしめる時は“嗚呼、総統閣下”と……」

 とは宣伝スタッフである。

「でも最初こそ、無愛想でしたが、だんだん打ち解けていくガンツはやはり名優です」(同)

 総統はドイツの役者とばかり思っていたが、実はスイス生まれで、「ハイジ」が大好きなんだという。

「しかし、それも後に解ったことで、プロデューサーは恐る恐るガンツに脚本を送ってみたところ、すぐにOK。監督は日本のアニメも全て見たそうで、日本人も納得のキャラクター設定に仕上がっています」(同)

 ヤギの乳搾りや昔ながらの丸太割り、大きな鎌を使っての草刈りなどを練習して撮影に臨んだ総統は、物語について力強く語っている。

「根底にあるのは、故郷や自分のアイデンティティ探し。現代風に言うと、自分が自分らしくいられる場所、そこにいたいと思える場所、そして自己実現できる場所を探す物語なんだ!」

 大人も楽しめそうである。

週刊新潮 2017年6月1日号掲載

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