ローソンだけじゃない 金融界にも「M資金」汚染

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財務省も困惑

 酸いも甘いも噛み分けているはずの経営者が、いとも簡単に騙される、いわゆるM資金。古くは全日空の大庭哲夫社長から、最近ではローソンの玉塚元一前会長がこの実体のない融資話に踊らされた。目下、詐欺師たちは次なるカモを求めて金融界にも触手を伸ばしているという。

 今年3月末、北関東に本店を置く銀行の応接室で3人の男たちが談笑していた。

「社長には、昔からお世話になっています。今日は、いい話があるとか」

 こう切り出したのは、次期頭取と目される役員だった。一方、“社長”と呼ばれた男性は銀行と取引が長く、この役員とも昵懇の仲。社長が連れてきた70代と思しき初老の男は、永田町で政治家や官僚などから相談を受けていると自己紹介して、

「俄かには信じ難い話でしょうが、ある団体が資金面で大きな穴を開けてしまいました。財務省の上部組織である“日本MEDO”が穴埋めをすることになりましたが、口座開設の協力をしていただける地方銀行、第二地方銀行、信用金庫を探しています。むろん、役所の仕事ですから、コンプライアンスは問題ありません」

 初老の男は、おもむろに胸元から「本事案に関する趣旨書」と題するA4のペーパーをテーブルに置き、

「貴行に口座を開き1ロット3000億円を預けたい。預入期間は最低5年間で、半分の1500億円は自由に活用できるが、残りは財務省OBが欧州で運用します。運用益の一部は配当金としてお受け取りいただきたい」

 そこで匂わされた最低利回りは10%以上で、年150億円。仮に、支払われる配当が1%だとしても、毎年15億円を労せずして手に入れられる計算になる。

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