“共謀罪国会”延長で「自」「公」の神経戦

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まだまだ波乱含み(くろふね/Wikimedia Commons)

 いよいよ、ヤマ場である。

 今国会最大の目玉、組織犯罪処罰法改正案、いわゆる“共謀罪”法案が5月23日、衆議院本会議を通過した。まもなく参議院で第2ラウンドが始まる。

 政治部キャップの話。

「金田さん(法相)はひとまずほっとした様子で、周囲に『誠意を持って話せば伝わるもんだね』と、自信をのぞかせていました」

 しかし実際はというと、

「法務省の役人を自分の後ろに座らせ、アドバイスを受けながら答弁していましたが、その姿は二人羽織そのもの。そうした態度が野党の癇に障り、不信任案まで出された。その挙句の強行採決ですから、当然、大臣の誠意はなんの関係もありません」(同)

 この調子では参院での審議も、野党からの追及で荒れ模様は必至。となると無論、6月18日に閉会が迫る国会の会期延長の可能性が出てくるわけだが、

「たしかに審議時間もぎりぎりですし、『延長してじっくり議論しよう』という向きもあったんですが」

 とは、自民党中堅議員。

「加計(かけ)学園の事案で空気が変わったんです。ともかく一刻も早く国会を閉め、さらなる追及から逃れたいがため、延長なしで法案成立を目指すことになりました」

 この方針に首肯できないのが他ならぬ公明党だ。

 野党担当記者が言う。

「参院でも強行採決をしてしまえば、いよいよ印象は悪くなり、直後に行われる都議選に悪影響を及ぼします。全員当選が党是の公明党からしたら、選挙後に採決したほうが安全。表では自民に同調しつつ、審議の混乱を見極め、自然に延長論を持ち出せるタイミングを見計らっています」

 論戦より先に、党利を巡る神経戦が始まっている。

週刊新潮 2017年6月1日号掲載

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