小池都知事、ダンマリを決め込む「築地」の鬼門

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■都知事に損害賠償請求

 むろん、不自然な台詞まわしにはワケがある。

 築地市場を巡っては、4月下旬に複数の水産仲卸業者が都知事らに対し、3億6000万円もの損害賠償を求めて、住民監査請求を行っていたのだった。

 都庁関係者によれば、

「彼らの主張は、専門家が豊洲は科学的に安全としたのに、都知事の延期判断は合理的根拠が全くないというものです。実際、昨年11月の移転延期以降、新市場は1日約500万円の維持費が生じていますから、その責任を求めているのです」

 加えて、知事が触れずにいたのが築地の土壌調査である。今年2月、条例に基づく調査が一部、行われていなかったことが発覚。戦後の一時期、市場内にあった進駐軍の施設による汚染の可能性を、都自体が認めて調査することになったのだ。

「5月2日から5日まで、市場内111カ所を対象にベンゼンなど23種類の有害物質の濃度を分析致しまして、結果は5月26日までに全て公表されます」(東京都中央卸売市場総務課)

 その値によっては、豊洲より築地の方が汚染されているということが明白になる。となれば、築地再整備にはさらに莫大なコストがかかり、豊洲移転は不可避となる可能性もあるのだ。

「公明党は選挙前の移転の判断を求めているので、知事はそれまでに決断する必要がある。けれど、移転を主張していた自民は損害賠償の問題も含めて、小池都政の判断能力に疑問符をつけ選挙で攻撃してくるのは必至。移転判断を選挙後に先延ばしにしても、豊洲のムダな維持費はますます膨らむ一方です」(先の記者)

 自ら創り出した鬼門によって迷走は深まるばかり。こんな劇場に、都民はいつまで木戸銭を払い続けなければいけないのか……。

ワイド特集「男と女の『劇場』」より

週刊新潮 2017年5月18日菖蒲月増大号掲載

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