トップ2人が退任! フジテレビ棚上げ人事の吉凶

企業・業界2017年5月10日掲載

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退任が決定した亀山社長

 フジテレビが9日、役員会議で亀山千広社長の退任を決定した。2013年6月に社長の座に就任し、視聴率が低迷する局の立て直しが期待されていたが、結果が出せず4年で退任となった。今後はBSフジの社長に就任するとみられている。また1998年に社長に就任し、会長時代も含め30年に亘ってフジテレビのトップを務めた日枝会長も、代表権のない取締役相談役に退くことが分かった。トップ二人を実質的に棚上げして、人事を刷新することで、再起を狙うというところだろうか。

■会社の役に立っているのか

 さてここで気になるのが「日枝会長が就任する『相談役』ってなに?」ということだ。なにかとよく聞く役職だが、はっきりとした役割は分からない。何を相談されるのか、そもそも偉いのか、というか必要なのか? 日本人の肩書について解説した入門書『出世と肩書』は、“相談役”や“顧問”の本質は「やめてもらうため」のポストという面がある、と指摘している。(以下同著より抜粋、引用)

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「相談役」や「顧問」という役職には社長や会長経験者が就任するポストというイメージがある。例えば経団連の榊原定征会長は東レの社長・会長を務めた後に同社の「相談役最高顧問」となっている。野村ホールディングスで社長をつとめた渡部賢一氏は退任後、「常任顧問」に就任した。こうした役職、本当は何をしているのか。会社の役に立っているのか――。

 そんな疑問に答えるのが、経済産業省が2016年に行った東証1部・2部上場企業を対象に行った調査だ。同年11月に公表された結果(回答874社)によると、6割以上の企業が顧問や相談役を置くものの、2割以上が見直しを検討しているという実態が浮かび上がった。

■気持ちよくやめてもらうために

 果たす役割は現経営陣への指示・指導が36%、業界団体や財界での活動が35%、顧客・取引役との関係維持・拡大が27%など。

 8割以上の企業が何らかの報酬を出し、任期は1年34%で、2年が10%、5年以上や終身というケースもある。社長時代と同様、専門の個室を利用できるのが33%、秘書を利用できるのが30%、社有車を利用できるのが20%だ。

 自由回答からは、実質「気持ちよくやめてもらうために用意する」ポストで「影響力の実質的な源泉は人事権」との指摘があった。さすがに「いつまでも置いておけない」と考える企業が増えてきたのか、何らかの見直しを検討中もしくは実施したという企業は2割。制度の廃止や人数・報酬の削減などが上がっている。
 
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 三菱商事の諸橋晋六氏は1998年の会長退任後、相談役、特別顧問として2013年に90歳で亡くなる直前まで、同社から個室と秘書、専用車を与えられていたという。
 厳しい経済状況を考えると、いつまでも置いておけないのだが、なかなかそうも言い出せず、廃止できずに、報酬や権限をやむなく与えているという企業も少なからずあるというのが現状のようだ。
 さて、長年君臨してきた日枝氏の権限は果たしてどの程度のものになるのか。今回の人事は吉と出るか凶と出るか。視聴者からは見えないドラマに注目が集まりそうだ。

デイリー新潮編集部