30代「東芝」社員の転職日記 “就職時は勝ち組中の勝ち組だった”“感覚は完全に麻痺している”

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■「東芝」30代社員のトホホな「転職活動日記」(下)

 30代、本社企画部の東芝マンの日記である。つぎつぎと上司や同僚が退職してゆく会社生活、合コンにも呼ばれず実家の親に心配されるプライベート……。意を決して登録した転職サイトからも音沙汰はない。

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東芝マンの「転職活動」4カ月間の日記(写真はイメージ)

1月24日・火曜日 今朝の朝日新聞に“東芝データ捏造”という衝撃的な記事が掲載された。技術職の同期に電話で聞くと、“朝日の記事は先週発売の週刊誌の後追いだが、事実だ”と、涙声。イケ好かない奴だが、彼も“技術の東芝”に誇りを持っていたし、それは自分も同じだったからショックだ。会社は“組織的ではない”と否定してみせたが、そんなはずがないだろうと突っ込みを入れたくなる。経営陣が腐っているのは知っていたが、技術部門で問題が発覚、しかもデータ捏造とは。会社全体が腐り始めているのか。自分は大丈夫なのか。〉

――昨年、東芝京浜事業所品質保証部の社員が、水力発電機器の安全検査データを捏造し、納入先の企業の指摘で露呈。東芝はそれを隠蔽し続けていたが、本誌(「週刊新潮」)が報じて発覚した。

1月27日・金曜日 今日の午後、綱川社長が記者会見で米国の原発子会社ウェスチングハウス(WH)の損失額が数千億円規模に上ると発表。同時に、半導体事業を分社化し、その株式の20%を売却するという。社内では“原発がダメで、半導体を手放したらどうやって生きて行くのか”との声が大半。昨年末から、毎週金曜日は送別会ばかりが続く。会の最後、退職する同僚の多くが“東芝を愛しているが……、本当に申し訳ない”と涙を流して挨拶する。ブルーになり、すぐに帰宅する気持ちになれず、1人でバーに立ち寄り痛飲。〉

2月2日・木曜日 2月14日に今年度第3四半期決算が発表される。WHの特別損失がなければ、決算発表後はV字回復の前祝をしていたはず……。転職のオファーは未だに来ない。管理、企画部門の人間などは代わりはいくらでもいるということか。転職セミナーに行くと決断。平日は、仕事で厳しいため2月11日土曜日参加の申込み。〉

2月10日・金曜日 来週の決算発表に向けて、関係部門は深夜まで残業し、土日を返上している。自分は無関係だと思っていたら、上司から休日出勤を命じられる。転職セミナーへの参加は厳しい。目の前が暗くなる。これまで馬鹿にしていた同業他社への転職を本気で考えねばならない時が来たのかも。3階のコンビニでカップラーメンを購入して、職場で1人ですする。そんな自分が情けない。〉

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