30代「東芝」社員の転職日記 “就職時は勝ち組中の勝ち組だった”“感覚は完全に麻痺している”

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■転職サイトからメールが

――東芝は2月14日に予定していた2016年度第3四半期決算の発表を延期した。WHの幹部が、米国で建設中の原発4基を巡り、部下へ建設費用を圧縮するように指示した“不適切な圧力”が判明したからだ。この責任を取り、原子力事業を統括する志賀重範会長と、社内カンパニーのエネルギー部門トップ、ダニエル・ロデリック社長が“退任”している。

2月15日・水曜日 技術職の同期から転送されたメールを見て、危うく職場でキレそうになる。メールの差出人は、“戦犯”のダニー。“短い間でしたが、みなさんと一緒に仕事ができて幸せでした”と。ふざけるな。お前と志賀会長が“チャレンジ”と称して、部下に圧力をかけたんだろ。同僚の話では、ダニーの給与は億単位だとか。この泥棒猫! あんたのせいで、決算が発表できず、転職セミナーへも行けなかったんだぞ。〉

2月22日・水曜日 帰宅後、十数年前に日立製作所や三菱電機に行かず、なぜ東芝を選んだのかを思い起こす。当時は勝ち組中の勝ち組だったし、旧財閥色も薄い自由な社風だと感じた。“公家集団”と揶揄されてはいたが、OB訪問で会った先輩方もみんないい人ばかりだった。あの時の判断は、間違っていなかった。そう信じたいが……。

 転職サイトからメールが来る。同業他社からの個別面談オファー。これ、これを待ち望んでいたんだ! 3日後の土曜日午後にアポ成立。だが、どこかで“この裏切り者”という声が。格下の同業他社へ転職しても、年収は減る。果たして。キャリアアップに繋がるのか。心の中で“自分の価値を知るためだ。正式に決まったわけじゃないから、裏切りにはならないよ”と。〉

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