30代「東芝」社員の転職日記 “合コンにも呼ばれない…”“見合い写真も来なくなった”

ビジネス 週刊新潮 2017年4月13日号掲載

  • ブックマーク

■「東芝」30代社員のトホホな「転職活動日記」(上)

 ♪光る、光る東芝〜と歌にあるように、かつて東芝の社員といえば、陽の当たるエリートそのものだった。だが、相次ぐ不正会計や債務超過で、今や倒産・失業も他人事ではない。思い余って転職サイトに登録した、ある東芝マンの「転職活動」4カ月間の日記。

 ***

東芝マンの「転職活動」4カ月間の日記(写真はイメージ)

2016年12月1日・木曜日 今期は、半導体事業が絶好調だ。“過去最高益”を記録するんじゃないか。ボーナスを大幅にカットされていた上司たちの顔にも、心なしか笑みがこぼれている。ボーナス支給は9日。“以前の水準に戻るかも”との噂も流れ、社内の雰囲気も決して暗くない。会社を離れた仲間も少なくないが、歯を食いしばり頑張ってきてよかった。去年の不正会計の大混乱が嘘のようだ。〉

――2年前に不正会計が発覚した東芝は、リストラ費用が膨らみ2016年3月期決算で営業損益が7000億円超の赤字に転落した。その後、スマートフォンなどに内蔵される半導体“フラッシュメモリー”の売り上げが絶好調。結果、17年3月期決算予想は本業の儲けを示す営業利益を1200億円から1800億円に引き上げている。だが、その、わずか4カ月後、最終赤字が1兆100億円に膨らむとは、この時、社員はむろん幹部ですら誰一人として予想していなかったはずだ。

 日記の筆者は、30代の中堅社員。有名国立大学法学部を卒業後に入社。十数年間の支社勤務を経て、本社企画部門に“栄転”した。ちなみに、年収700万円台だった彼は、未婚で“独身貴族”を謳歌していた。しかし、“ボーナスカット”により、2年間で年収は100万円近く減っている。一方、妻子を持つ管理職は悲惨で、年収激減で子供が通っていた塾の数を減らし、住宅ローンの返済計画見直しを迫られている者もいるという。

12月9日・金曜日 ボーナス支給日。出社すると、隣の同僚の机の上に何もない。上司が“彼は、転職が決まり今月末付で退職する”と。後は、有給消化か。正直、羨ましい気持ちがないわけではない。今年、退職した上司、同僚は何人目だろうか。退職するという彼には子供もいるし、生活の安定を取ったのかもしれない。以前飲んだ時、彼が“この会社は好きだけど、不祥事が多すぎる。俺たちの定年まで持つかな”と漏らした言葉を思い出す。〉

12月16日・金曜日 退社後、同期の技術職と居酒屋。彼が転職サイトに登録したという。引く手あまたで、登録翌日には10社からオファーがあり、うち3社からは面談の申し込みもあった、と。曰く、“「技術の東芝」は死んでいない。今は売り時じゃない。会社が苦しくなれば、我々の技術力は高く売れる。これなら倒産した後に転職活動をしても遅くない”。文系出身の自分は、内心カッとなったが、笑顔で聞き流す。昨日、株価が一時475円まで上がり、今年最高の値を付けた。自分は、会社が復活することを信じている。〉

12月22日・木曜日 得意先へのカレンダー配り。社を出た後にカレンダーを自社の紙袋から「虎屋」の紙袋へ入れ替える。数年前にはこんな日が来るとは想像すらしなかった。情けないが、まだ世間の目は冷たいので会社の袋を下げて電車に乗る勇気がない。

 LINEで大学時代の友人たちが合コンをしていたことを知る。自分は呼ばれなかった。これまで真っ先に声がかかってたのに。みんな気を使ってくれているのか、それとも……。2年前までは、合コンには時間に遅れて行っても、勤務先を言えば、女の子たちからキャーキャー言われていたのが嘘のようだ。“負け組”に転落した事実を突き付けられた気分。来年も、半導体事業の好調は変わらないはず。V字回復して、奴らを見返してやると心に誓う。〉

次ページ:■両親に心配される

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]