「ヤマト過酷労働」スクープ 朝日新聞が書かない販売店の過酷労働

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〈企業は働き手にきちんと賃金を支払い、それを織り込んで市場で公正に競争する。(中略)こうした条件が整わない経済は、どこかにひずみを抱えている〉。ヤマト運輸の残業代未払いをスクープした朝日新聞の社説である。だが、その朝日の足元で何が行われているかご存じか。

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朝日新聞東京本社

〈ヤマト 巨額の未払い残業代〉

 朝日新聞の1面トップにこんなタイトルが躍ったのは3月4日のこと。記事は、ヤマトホールディングス(ヤマト運輸の親会社)が社員約7万6000人の未払いの残業代を調べ、すべて支払う方針を固めたというものだ。金額にして数百億円にのぼるという。

 ところが、このスクープ記事を複雑な気持ちで読んだ人たちがいる。他ならぬ朝日新聞の販売所の関係者だ。

 一般に新聞の販売所は、午前2時ごろに従業員が出勤し朝刊を配達する。それが終わるといったん退勤となり、夕刊のために再び午後1時ごろ出勤、午後7〜8時が退社時間だ。朝刊から夕刊まで10時間以上の営業時間だが、これをシフト制にして8時間勤務にしている。

 だが、首都圏の販売所(ASA)を経営していた元所長が言う。

「新聞販売所は古紙回収業者やクレーム電話の対応などもこなさなくてはならない。ウチの従業員は20人いましたが、忙しすぎて朝刊から夕刊までの間に休むことができず、定時退社だって年に1、2回で毎日残業は当たり前でした」

 問題は、その残業代がきちんと払われているかである。元所長のASAではタイムカードで管理することになっていたが、打刻するのは出勤時だけ。あとは自己申告で規定の時間内に収めることが常態化していた。サービス残業そのものではないか。

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