訴訟になった「スマートバイブ」個人情報って?

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充電器にささった本体(左)と一式

 テレビやAV機器をインターネットに接続するなんていまや当たり前。冷蔵庫からコーヒーメーカーまで、ネットに接続させれば家の内外からスマホで操れるのが現代、いわゆるIoT(モノのインターネット)というやつだが、“大人のおもちゃ”にもその波が――。

「カナダの企業が開発した“スマートバイブ”、We-Vibeはスマホのアプリから操作が可能なバイブレーター。日本を含む全世界でシリーズ累計200万個が売れたとのことですが、ユーザーの個人情報をメーカーが勝手に収集しているとして、米シカゴで集団訴訟となったんです」

 とは、北米在住のライター、關陽子氏だ。

 なんでもこのバイブ、目の前の相手と“普通に”使用できるのはもちろん、スマホで遠隔操作も可能。例えばテレビ電話で相手と会話しながら使うこともできると“人気”の商品だった。

「ところがそのバイブを使用した日時や強弱、振動パターンやスピードといった個人の好みや、メールアドレスといった個人情報をメーカーが同意なしに収集していたのです。結局、ひとり最大1万ドル(約112万円)、総額375万ドル(約4億2000万円)に及ぶ賠償金を支払うことで和解するとのことですが」(同)

 しかし、その事態が判明した端緒というのが、昨年夏のハッカーたちの年次集会だった。

「ユーザーがバイブを使うとメーカーのサーバーに使用中だと伝わるのですが、そこでスマホをハッキングすればバイブを乗っ取れる。あるいはアプリの機能の一つであるビデオチャットを覗き見ることも可能、と報告され、にわかに注目が集まったのです」(同)

 IoTの向こう側では、幾多のハッカーが蠢いていることも忘れない方がいい。

週刊新潮 2017年3月30日号掲載

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