「この世界の片隅に」監督、「のん」起用のワケを語る

映画週刊新潮 2017年2月23日号掲載

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舞台挨拶に追われる片渕監督(横浜ニューテアトルにて)

 昨年11月に全国わずか63館で封切られ、口コミから評判が高まり、現在では300館規模での公開が続くアニメ映画「この世界の片隅に」。この大ヒットで片渕須直監督(56)の前作である「マイマイ新子と千年の魔法」(2009年公開)も注目され、リバイバル上映が広まっている。

「いやあ、ありがたいです」

 とは今作と前作の連続上映の舞台挨拶を終えたばかりの片渕監督である。長編アニメ映画の監督作品は3本だが、大塚康生、高畑勲、宮崎駿らの下で様々な作品に携わってきた。

「誰に、というのではなく、今回は負ける気がしないと言っていました。様々なつながりも味方してくれた」

 製作資金の一部はクラウドファンディングにより一般から調達されたもの。そこには原作者のこうの史代さんのファンもいたが、彼女が漫画家になってからも、監督のテレビアニメ「名犬ラッシー」には影響を受けたとか。

「それに主役のすずちゃんの声を担当してくれた“のんちゃん”もそう。『この世界……』は10年頃から作り始めたのですが、監督補である妻が当時、ダイビングスクールに通っていましてね。そのプールが今度、朝ドラの役者さん達の練習場になるから、しばらくお休みと言われたんです。どんなドラマかと思って見てみるとそれが『あまちゃん』だった。絵作りをしながら声のイメージって出来てくるんですが、のんちゃんの声が僕と監督補のイメージにぴったりだった」

 製作が進み、いざ“のん”に頼もうとしたところ、事務所との間で移籍騒動が勃発。

「みんな無理だと言うんですが、僕がグズグズしているうちに製作期間が延びて、彼女が事務所との契約の切れる16年6月に。これでお願いすることが出来た」

 何だか上手くいきすぎ?

「のんちゃんと神田明神の節分に参加したんですが、この時のおみくじが末吉。のんちゃんもヨコハマ映画祭で審査員特別賞を貰ったし、まだまだこれから!」