「韓国」次期大統領選、潘基文氏の突然の撤退のワケ

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「国家統合を遂げようとした純粋な志をあきらめます」

大統領選撤退を発表した潘基文氏

 2月1日午後、韓国の潘基文(パンギムン)氏(72)は突如開いた記者会見でこう述べ、4月から5月にかけて想定されている次期大統領選からの撤退を宣言した。前日には憲法改正に向けた提言を行い、また当日も直前まで与党セヌリ党などを訪れて出馬準備を進めていた矢先の、急転直下の不出馬会見。その場で潘氏が立候補断念を告げると、会見場にはどよめきが起こったというから、いかに衝撃的だったかが分かる。

 あるソウル特派員が振り返る。
「家族や側近にも直前まで伝えていなかった電撃的撤退宣言だったことに加え、韓国では潘氏は保守系候補として捉えられていて、彼が退くことによって次の大統領が左派系になる可能性が極めて高くなった点でもショッキングでした」

■「勝てないから」

 昨年12月まで、10年にわたって国連事務総長を務めていた潘氏は、一昨年9月、中国で行われた「抗日戦争勝利70年」軍事パレードに出席した。その際、中国への肩入れは国連事務総長として中立性に欠けるのではないかとの指摘に対し、

「国連は中立ではなく公平公正だ」

 という「迷言」を残したことからも反日的と見られてきたが、それでも韓国では保守派として通っていたのだ。そのため、対北朝鮮強硬派の朴槿恵(パククネ)大統領(65)を継ぐ、保守系の切り札とされてきたのだが、

「どこの政党とも組もうとせずに支持基盤が弱かったこと、弟や甥だけでなく自身にも金銭スキャンダルが持ち上がったこと、そしてピンマイクが付いているのを忘れて車中でマスコミのことを『悪い奴ら』と言ってしまったことなどから支持率が伸び悩み、出馬断念に追い込まれました」(前出特派員)

 なにより、彼は一昨年末に日韓合意がなされた時、歓迎するとのコメントを出していて、

「今の韓国は、朴槿恵がやったことは全て悪という世論ですから、『日韓合意を支持していた』という事実だけで形勢が不利になっていたんです」(同)

 したがって、「朴スキャンダル」前は次期大統領候補筆頭だったのに、最近は支持率が落ちるばかりで、

「端的に言うと、潘氏撤退の理由は『勝てないから』の一言に尽きます」(「コリア・レポート」の辺真一編集長)

 こうして、その肩書きからかつては韓国内で「世界大統領」と持て囃された潘氏が脱落。最大野党「共に民主党」前代表の文在寅(ムンジェイン)氏(64)が、次期大統領レースの先頭を走ることとなった。

特集「竹島再上陸で日韓関係壊滅!? 韓国次期大統領はこんなにとんでもない男」より

週刊新潮 2017年2月16日梅見月増大号掲載

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