安易にヒトラーの名前を出す大メディアの問題点 青山繁晴・百田尚樹の「大直言」対談④

政治2017年2月13日掲載

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 1月29日朝日新聞朝刊の「天声人語」は、ナチスのユダヤ人弾圧について触れたあとで、「トランプ米大統領」「欧州の極右政治家」への懸念を示している。

 死後70余年経ってなお、最悪の政治家の代表として最も名前が登場するのがアドルフ・ヒトラーだろう。そういえば、安保法制の議論が盛んだった頃には、安倍首相に対しても「ヒトラー」を持ち出して批判する人が少なからずいた。

 しかし、安易にヒトラーを持ち出すのはおかしい、と指摘するのは参議院議員で作家の青山繁晴氏と作家、百田尚樹氏だ。2人の対談をまとめた最新刊、『大直言』から、そうした安易な表現の問題点について議論している箇所を引用してみよう。

 * * *

 安保法制に関する議論で、「憲法違反だ」と言って反対する人たちにはうんざりさせられました。確かに、厳密に憲法論議をすれば憲法違反だという可能性もあるかもしれない。でも、憲法より大事なものがあるだろうとは考えないんでしょうか。

 憲法は確かに大事。あらゆる法律より大事やけど、憲法より上にあるのは、国民の命のはずです。

青山 この安保法制に関して、たとえば、村山富市元総理が、官邸の前に来てマイクを握られたりしたでしょう。ぼくはかつて村山さんともお付き合いがあった。総理になられた時には社会党の委員長でありながら、自衛隊を認めるという英断もなさった方だと思っている。だから言いたいんですよね。村山さん、ちゃんと思い出してくださいねと。「侵略戦争の定義がない」というのが安倍総理の問題発言みたいに言われていますが、それは村山総理も在任中に仰っていたことですよ。全部なんでも安倍さん個人の問題のようにされてしまい、安倍さんはヒトラーにまでなぞらえられていますが、よく我慢できるなと思います。

百田 芯がありますよね。安倍総理、偉いなあと思いますわ。

青山 病気と格闘してきたから、人の痛みがわかる人になられてると思うんです。そうじゃなかったら、ただのお坊ちゃんじゃないですか。お父さんが外務大臣で、おじいちゃんが総理大臣なんだから。百田さんは非常に親しいお付き合いをされているみたいですけど。

百田 たまに電話で話すくらいで、会ったりはしないですが。

青山 独裁者の逆ですよね。

百田 はい、まったく。ある種の人たち、鳥越俊太郎さんとかそういう人たちは、このところよく安倍総理のことをヒトラーになぞらえて批判していました。そして「ナチスのような言論統制をしている」と騒ぐわけです。でも、あんた言うてることわかってるか、と言いたいですよ。私はいつもそういう人に言うんです。

「もしも安倍総理がヒトラーなら、あんたはもう生きてはいられないですよ」

 実際には「アベはヒトラーだ」という人たちは普通に家に帰って、ビール飲んで寝ているわけですよ。周近平の前で「お前はヒトラーだ」と中国人が言ってデモでもやったら、どんな目に遭うことか。

 私たちがどれだけ自由な空間でいて発言できてるかという話です。だから、本当、頭悪いとしか言いようがないですね。

青山 これは深刻で、日本人は日本の近現代史も世界の近現代史もろくに教わっていないんですね。だから、ナチが本当に何をしたかというのを知らないですよ。何となくヒトラーは独裁者だったんだな、という程度。

 ナチの実態を知っていたら、いくら安保法制に反対で、今の憲法を変えたくなくても、さすがに、安倍さんをヒトラーと同じと言うことはできないですよ。ヒトラーやナチズムの実像を知らないにもほどがある。

百田 本当に無知を自覚せずにものをしゃべるの、やめてもらいたいですね。

デイリー新潮編集部