アデランス上場廃止、創業社長の「カツラ御殿」売却

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「維持するのは大変」

 高橋惠子がCMで、オーダーメイドの「レディスアデランス」や既製品の「フォンテーヌ」を必死に紹介しても、なかなか反応がないのだそうだ。

「実際、このままジリ貧が続けば倒産しかねない状態で、創業者の根本社長にすれば、自分が持つ株も紙切れになってしまう。それでは忍びないので去年の8月、根本社長が自らインテグラルに相談を持ちかけたと聞きました。アデランスは10年ほど前、アメリカの投資ファンドのスティール・パートナーズに株を買い占められた苦い経験があります。そのトラウマがある中、あえて投資会社に頼まざるをえないほど追い込まれてしまった。上場廃止は、それなりに費用をかけて事業構造を抜本的に変えるには、株主のための費用すら削る必要がある、という選択をした結果だと思います」(別の経済誌記者)

 カツラをいくら被せても、もはや隠せない会社の危機。

 アデランス経営企画部によれば、実は社長も、新株発行に際し、出資義務があるという。だが、

「自宅の売却は私が判断したことで、会社とは関係ありません」

 と、根本社長の妻は語る。

「私たちの年齢のことを考えると、成城のあの家は広すぎて、税金などを含めて維持するのは大変。主人になにかあったとき、私一人では賄いきれませんし、子供たちに整理させるのも気の毒です。整理してよかったと思っていますよ。今はだれでも高齢になれば、そういうことを考える時代じゃないですか」

 いずれにせよ、会社の維持が大変なのに、御殿の維持に苦労している場合ではない、ということだろう。

週刊新潮 2017年2月9日号掲載

ワイド特集「近ごろバブルの人々」より

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