姿を消す中国の爆買い 釧路空港「ラオックス」が半年で閉店

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こんな光景も今や昔に

 お屠蘇気分もすっかり抜けたニッポンだが、海の向こうはこれからが本番。中国の旧正月・春節休暇が今年は1月27日から始まる。

 例年なら中国人の“爆買い”が日本各地を席巻するところ、1月10日、総合免税店大手のラオックスは、北海道の釧路空港店を閉店した。中国でも人気の福原愛を広告塔にするチェーン店が、商機を前に撤退したのにはどんなワケがあるのか。

 地元記者が言う。

「北海道では、昨年12月末に旭川駅前通り店が開店から1年3カ月で撤退しています。釧路空港店は昨年6月にオープンしたばかりで、閉店までわずか半年あまり。空港ビルとは5年間のテナント契約を結び、日本語と中国語、英語に対応できるスタッフを揃え万全の体制だったのですが」

 店頭には炊飯器などの家電から化粧品、医薬品まで売れ筋の商品を並べたが、全く売上が伸びなかった。

「昨年11月、ラオックスは空港に閉店の意思を伝えていました。これで8つあった道内の店舗は札幌や小樽など6店のみです」(同)

 年間約68万人の利用客を誇る釧路空港は、春節ともなれば釧路湿原の丹頂鶴や知床の流氷目当てに、多くの中国人が訪れる道東の玄関口だ。2015年4月から16年3月までは、中国や台湾などからのチャーター便も計62便就航していたという。

 ところが、である。管理する釧路空港ビルによれば、

「昨年4月から、中国を含め海外のチャーター便が全く来ない状態が続いております。お店としても、これでは先が見通せないという結論に至ったのでは……」

 経済部の記者が解説する。

「12日には、大阪・ミナミに今春開店予定だった関空資本の大型免税店が、取り止めを発表しました。昨年春から習近平主席は、海外で購入した製品、例えば腕時計なら最大60%もの高額関税をかける施策を始めた。急速な元安も手伝って日本でモノを買っても損をする。訪日のメリットが薄らいでいるのです」

 地方からジワジワと、確実に“爆買い”の光景は姿を消しつつあるようだ。

週刊新潮 2017年1月26日号掲載

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