「柴咲コウ大河」影響、井伊家ゆかりの寺に2000人 住職の願い

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NHKの新大河「おんな城主 直虎」で主人公・井伊直虎を演じる柴咲コウ

 静岡は浜松と聞いて浮かぶのは、ウナ丼、うなぎパイ……これらを育む浜名湖といったあたりだろうか。敢えて訪れる動機に欠けたエリアだったのは否めないが、そこへ救世主が現れた。

 1月8日に始まったNHKの新大河「おんな城主 直虎」である。主人公・井伊直虎ゆかりの地として、浜松市街から北へ約15キロ離れた井伊谷(いいのや)地区は、主演の柴咲コウもさっそく訪れ脚光を集めているのだ。

 むろん、大河のロケ地となれば、地元にとってその恩恵は計り知れない。

 経済部記者によれば、

「前回大河の『真田丸』ロケ地だった長野県上田市では、大河ドラマ館の来場者が100万人を突破しました。市内には隅櫓が現存する上田城やパワースポットの真田神社など旧跡が目白押し。訪れる観光客による経済効果を、日銀は200億円と試算したほどです」

 さぞや浜松も潤っているだろうと観光案内を繙けば、肝心の“おんな城主”が居を構えた城跡は、重厚な天守閣などは残っておらず土塁だけ。他には井伊家誕生の井戸なんてのもあるが……。尼姿の柴咲コウに思いを馳せられる好適地は、直虎が出家した臨済宗の古刹で、井伊家代々の墓所もある龍潭寺(りょうたんじ)である。

 その住職・武藤宗甫氏(61)に話を聞いた。

「15年の夏にNHKから放送決定の発表があった時は、地元でさえ“直虎って誰だ”という反応でしてね。それまで浜松自体、観光地として力を入れていなかったのが正直なところです」

 ところが、蓋を開ければこの半年でみても、多い時は1日2000人が寺へ訪れるようになった。1月15日には、市内に大河ドラマ館もオープン。急遽、公募で作ったゆるキャラ「直虎ちゃん」を出陣させ観光客を誘致していくという。

「多くの人に興味を持って貰うのは有難いことですが、建物は350年間一度も火災に遭っていない。訪れる方々は、本物の禅寺の雰囲気を静かに味わって欲しいと願っています」(同)

 まずは視聴率がウナギ上りとなるかどうか――。

週刊新潮 2017年1月19日号掲載

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