綾瀬はるか 大河のセリフ、現場で変えた

芸能週刊新潮 2014年5月29日号掲載

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 本屋大賞受賞『村上海賊の娘』の著者、和田竜氏(44)と2013年大河ドラマ「八重の桜」主演の綾瀬はるかさん(29)。『村上海賊の娘』100万部突破を記念した対談で小説のセリフに心を動かされたと語る綾瀬さん。和田氏のキャラクター造形の手法に興味津々!!

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和田:シナリオを書くときも、登場人物の履歴書を作れとよく言われますけど、僕は必要ないと思っています。そうすると、かえって細部にとらわれてしまう。たとえば、僕が綾瀬さんのことを細かく知っているわけではなくても、「綾瀬さんとはこうだ」と、人間をバクッと捉えるじゃないですか。そういう人間の“核”みたいなものをつかむと、セリフは出てくるものなんですね。

綾瀬:“核”ってどういうものですか。「頬っかむりして農作業」みたいな?(笑)

和田:うーん。たとえば『村上海賊の娘』の主人公の景をあえて言葉にすると、戦国の女性、海賊の一族という環境を前提としながら、「どこかいい加減で、欲望に真っすぐで意地悪なところもあるけど、真心があって、何かの事態でワッと目覚める人間」ですけど、それを“人格の核”というイメージだけで捉えつづけてセリフを書くということですかね。

綾瀬:私は、たとえば原作があり、演じる人物の過去が書いてあるときは、人間像がよくわかるんですけど、1日の出来事だけを描いた映画で、シナリオにその日のことしか書いてないと、演じている途中に「この人がこんなセリフを言うかなあ」と思う瞬間があるんです。「八重の桜」も最終回で後ろ向きなセリフが出てきて、みんなで「八重は最後にこれを言うだろうか」と話して、現場でセリフを変えたんですよ。演じる前に「愛に飢えている人」とか、ざっくりとイメージを持つと役がブレないんでしょうけど、実際にやってみると、捉え方がざっくりしすぎて難しかったりします。

和田:「愛に飢えている」とかは、“核”の一構成要素にすぎない。もっと漠然と捉えないと、その人らしいセリフは出てこないと思います。

綾瀬:でも、この人はこんな人だな、とわかっていても、あらためて言葉にするのは難しいですよね。だから私、インタビューで共演者についての感想を聞かれたら、どんな人のことも「淡々とした人」って言っていると思って。

和田:急に怒り出して物を投げるとかじゃないかぎり、淡々とした人って捉えているんじゃないの?

綾瀬:あっはっはっ。「和田さんはどういう人でしたか」と聞かれても「すごく淡々とした人でした」って答えるかも。

和田:今度どっかのインタビューで、綾瀬さんが誰かを「淡々とした人」って言ってたら、ゲラゲラ笑ってやろう。

デイリー新潮編集部

※「本屋大賞『村上海賊の娘』100万部突破記念 『和田竜』×『綾瀬はるか』ローカル対談」より一部抜粋掲載。