小池都知事の「希望の塾」、授業は自慢大会でも試験は難関

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小池百合子都知事

 受験生の中には、エド・はるみや元アナウンサーの龍円愛梨、そして小池百合子都知事を応援した都議会議員の姿もある。小池氏が主宰する「希望の塾」の筆記試験は、これまでの漫談みたいな“授業”のおさらいかと思ったら、えらく難しいと評判なのだ。さて、その試験内容とは。

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 1月7日、東京・池袋にある帝京平成大学の講堂には1600人の塾生が詰めかけた。この日行われたのは、今夏に予定されている都議選候補や、その政策スタッフを選ぶための筆記試験である。あまりにも人数が多いため、試験は午前と午後に分かれて実施された。

「男女比は6対4ぐらい。年齢は30代前半が多いと感じました」

 そう話すのは、筆記試験を受けにきた中年男性である。試験は論文が60分、さらにマークシート式の適性テストが課せられる。これにパスすれば、面談などを経て晴れて都議会議員候補となれるというのだが、枠は40人。実に40倍の競争率である。午前10時、まず論文試験が始まる。

「配られた問題は志望コースごとに設問が分かれていました。まず、立候補希望者(都議選対策講座の受講者)に用意されたのは『設問A』でした」(同)

 テーマは「地方議会の二元代表制」について論ぜよというもの。

「“国政選挙との違いを明らかにしたうえで、地方議会に対するあなたの考えを述べなさい”という設問でした。これを、800字から1200字の間で論じるのです」(同)

 中には答案用紙を見つめたまま書き出せない者も。

 ちなみに二元代表制とは、首長(知事など)と議会の議員を別々に選ぶ仕組みのこと。地方自治の根幹をなす制度だが、いざ論じるとなると、なかなか難しい。

■京都議定書

 別の塾生が言う。

「予想以上に深いテーマだったのでびっくりしました。だって、これまでの授業と言えば、名古屋市長の河村たかしさんが漫談みたいな話をして皆を笑わせたり、元金融担当大臣の竹中平蔵さんがやってきて、昔の自慢話ばかりなのです。正直言って、試験問題は授業の延長のような内容だろうと思っていました」

 論文問題はこのほかに政策スタッフ希望者向け、そして、議員と政策スタッフの両方を希望する人に合わせて「設問B」が用意されている。

「設問Bは3つのテーマから選ぶのです。1つは都政改革のテーマを予算も合わせて論じるというもの。2つ目は格差解消を都知事の視点で述べよという問題。そして、3番目は京都議定書のCO2排出基準が守られるための解決策についてでした。正直、都政と京都議定書に何の関係があるのか意味が分かりません」(同)

 もちろん、資料の持ち込みは禁止でスマホなども使えない。また、午後の試験では別の論文問題が出されたという。

 政治アナリストの伊藤惇夫氏によると、

「言うなれば、小池人気に乗れば当選すると安易に考えている人をふるいにかける試験でしょう。でも、私自身、民主党時代に公募による候補者選びに関わったことがありますが、論文や面接で人を見分けるのは難しいものですよ」

 蓋を開けてみれば、やっぱり有名人と現職議員が選ばれていたというのが、この手のパフォーマンスのオチである。

ワイド特集「最後の福袋を買い占めろ!!」より

週刊新潮 2017年1月19日号掲載

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