人種で知能は違うのか?

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白人は黒人よりも賢い?

 1969年、アメリカの教育心理学者アーサー・ジェンセンがある論文を発表した。

 ジェンセンは知能を記憶力(レベルI)と概念理解(レベルII)に分け、レベルIの知能はすべての人種に共有されているが、レベルIIの知能は白人とアジア系が、黒人やメキシコ系(ヒスパニック)に比べて高いことを示した。

 この論文の結果は、猛烈な反発を喰らうこととなる。というのも、この5年前に黒人差別を禁じる公民権法を成立させたアメリカでは、貧困家庭の幼児に教育支援をするプログラムを進め、巨額を投じていた。

 ところが、必ずしも貧困家庭の幼児への教育は期待ほどの効果を上げていなかった。そこへきて、「人種と知能の関連」を発表したため、「黒人の子どもは遺伝的に知能が低いから幼児教育に意味がない」という主張に受け止められ、ジェンセンの研究は全米に憤激の嵐を巻き起こしたのだ。

 彼の大学にはデモ隊が押し寄せ、暗殺されかねないほどの非難を受けてしまう。

 もっとも、ジェンセンは差別をしたいがためにこのような研究をしたわけではないし、白人の人種的優位性を示したかったわけではない。

 彼は「同じような環境に置けば、白人も黒人もアジア人もみな同じような能力、知能を獲得する」という一見、正しそうな、そして当時のリベラルが信じ込んでいた「常識」を疑ってみたにすぎない。

 彼は白人と黒人のIQだけではなく、アジア系アメリカ人のIQも研究しているのだ。その結果、アジア系アメリカ人のIQは白人よりも高いことを指摘している。白人こそ最も優秀な人種であると考えている人たち(トランプ支持層にいるようにも見える)には、これもまた、不都合で残酷すぎる真実かもしれない。

デイリー新潮編集部

2017年1月13日掲載

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