「鶴保北方相」を茶化した「世耕経産相」の地元国政報告会 県連から注意の可能性も

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 スポーツの世界などでは、ライバルの存在が互いにとってプラスになるケースがままあるが、この2人の場合はどうか。鶴保庸介・沖縄・北方担当相(49)と、世耕弘成・経済産業相兼ロシア経済分野協力担当相(54)。共に和歌山県選出の参議院議員で、4回の当選を経て初めて大臣に就任した時期も一緒のご両人だが……。

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鶴保庸介・沖縄・北方担当相

 2016年8月の大臣就任後、すぐに躓いたのは鶴保氏だった。

 まずは、就任の1カ月ほど前にスピード違反で摘発されていたことが発覚。さらに、本誌(「週刊新潮」)などの報道によって明るみに出たのは意外な過去だった。息子を出産した直後の新妻を“ポイ捨て”するかのようにスピード離婚していたのである。

 一方、就任から4カ月で早くも晴れ舞台を経験することになったのが、世耕氏である。世耕氏も同席した今回の日ロ首脳会談。彼がその舞台に立つにあたり、何を考えていたかが分かる映像データが手元にある。9月25日、和歌山県串本町内で催された国政報告会の様子を撮影したもので、そこで彼はこう述べている。

〈12月15日が大きな転換点になったら、歴史の教科書の中に「安倍晋三政権で、70年間解決できなかったロシアとの領土問題を解決した」って出るんです。そして、そこに星マークで注釈がついてて、下の方に小さく、「担当大臣は世耕弘成だ」と〉

 が、結果はご承知の通り。世耕氏はさぞや落胆したに違いないが、目下、自民党和歌山県連の中に、この報告会での“放言”を問題視する動きがあることを当人は知っているだろうか。

 その発言が飛び出したのは、会の冒頭であった。

〈大臣になって1カ月と3週間。(中略)ともかく、一分の隙間もないくらい仕事に集中した1カ月と3週間だったなと思ってます。まあ、スキャンダルも出てませんし、スピード違反もしておりませんので〉

 鶴保氏をそう茶化し、会場が爆笑に包まれると、自身も満足そうに笑みを浮かべたのである。

■「総理を目指す」

世耕経産相が出席した国政報告会の様子

「世耕さんは少なくとも3カ所で鶴保さんを揶揄する発言をしています」

 と、和歌山県連関係者。

「県連の中でも、“同じ和歌山の議員で、しかも同じ大臣という立場なのにバカにして笑いを取るとは酷い”との声が上がっており、今後、世耕さんは県連から注意を受ける可能性がある。安倍総理の側近として重要閣僚に任命されて天狗になっており、鶴保さんなんて眼中にない、と考えているからこそ今回のような発言が出るのです」

 実際、問題の報告会では、自らが3年7カ月に亘って官房副長官として安倍総理を支えてきたことに触れ、

〈安倍さんがいつも言っているのは、「自分は、3年3カ月の官房副長官の間に、政治家として力をつけて、そしてそれがやがて総理大臣へと繋がっていった」と。私は総理になれるかどうかは分かりませんけれども、この3年7カ月でいろんな政策も勉強できた〉

 ちゃっかり自分の前にも総理への道がひらけているような言い方をしたのだが、先の県連関係者によると、

「世耕さんと鶴保さんはどちらが先に衆議院に鞍替えするかという点でもライバル。世耕さんはかなりあからさまな態度を示しており、地元では“総理を目指します!”といった大胆な発言もしているようです」

 世耕サン、どうやら本気らしい。勘違いとは恐ろしいものである。

ワイド特集「夜明けの鶏(チキン)レース」より

週刊新潮 2016年12月29日・2017年1月5日新年特大号掲載

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