トランプが導く株価と為替 値上げする株、下がる株は

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ドナルド・トランプ

 大統領選の雌雄が決した9日、「トランプショック」が日本を直撃した。日経平均株価は919円の大暴落、翌日には1092円の大暴騰という乱高下に見舞われ、為替も一時1ドル=108円台まで値下がりした(14日現在)。

 今後、トランプは株価と為替をどこへ導くのか。

「1月の就任式までは円安ドル高が続くと思います」

 とはファイナンシャルプランナーの深野康彦氏。

「現在のドル高は、トランプが“10年間で100兆円”という大規模な公共事業を政策に掲げたことが影響しています。資金調達には国債の発行増が必要で、それに連動して金利も上昇する。すでに長期金利は2・15%ほどに達し、ドル買いが先行しているのです。ただ、彼の支持層は輸出がメインの製造業界なので本来はドル安が望ましい。2年後の中間選挙に向けて、1ドル=90円台を目標とした円高ドル安政策に舵を切ると考えられます」(同)

 また、新大統領は、リーマンショックの反省を受けて制定された“ドッド=フランク法”の規制撤廃を明言している。

「そのため、モルガン・スタンレーと資本提携する『三菱UFJ』や、アメリカに傘下の保険会社を持つ『第一生命』などの金融株は値上がりが期待できる。一方、北米自由貿易協定(NAFTA)から離脱して関税が復活するリスクがあるため、メキシコの工場でアメリカ向けの商品を製造する『マツダ』や『東洋水産』の株価は悪影響を免れない。加えて、TPPの発効が見送られれば日本企業の失望売りも進むと思います」(同)

 前代未聞のギャンブル相場で、「カジノ王」と対峙するのは容易ではない。

特集「差別と憎悪の渦から生まれた『トランプ大統領』25の疑問」より

週刊新潮 2016年11月24日号掲載

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