朴槿恵辞任で懸念される「反日」再燃…次期大統領候補の対日姿勢

国際 韓国・北朝鮮

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 孔子曰く、〈君子はこれを己に求め、小人はこれを人に求む〉。賢い者は物事の責任を自らに、そうでない者は他人に求めるという意味である。儒教社会でありながら、開祖の言葉を疎かにし続けた朴大統領。だが、彼女が下野すれば、日本にとってより厄介な指導者が浮上するというのだ。

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記者会見する朴槿恵大統領

 何しろ、朴氏曰く、

「加害者と被害者という歴史的な立場は、千年の時が流れても変わらない」

「後ろ向きの発言ばかりする日本の指導部のせいで、信頼関係を築けない」

 就任以来、あらゆる場面で反日語録を捲し立ててきた「不通大統領」。そんな彼女が歩み寄りを見せ、どうにか締結に至ったのが、慰安婦問題に関する日韓合意だった。

 とはいえ、ここまで窮地に追い込まれると、お得意のちゃぶ台返しをやらかさないか不安にもなる。

 政治部記者は、

「確かに、朴大統領が12月に予定される日中韓首脳会談に出席できるかは微妙になってきた。ただ、官邸も朴政権の脆弱さは織り込み済みだからこそ、日韓合意は“不可逆的に解決する”ことを確認している。アメリカのケリー国務長官も合意について、“米国の最も重要な同盟国である日韓両国の和解を促す”と歓迎した。さすがに前言撤回はありえないと思います」

 と言うが、拓殖大学の呉善花教授はこう警告する。

「そもそも、日韓合意は文書が取り交わされていない“口約束”です。正式な外交文書がある1965年の日韓基本条約すら守らない韓国が、今回の合意を守るとは考えられません」

 しかも、朴政権のレームダック化が進み、野党の発言力が増せば、いよいよ嫌な予感が顕在化するという。

 最大の懸念材料は、野党の元代表・文在寅(ムンジェイン)氏の存在だ。

■“わが民族”を旗印に

ソウル市内にある慰安婦像

 呉教授が続ける。

「文氏は日韓合意が結ばれた直後に、“この合意は国会同意がなくて無効だ。自分たちが政権を取った暁には白紙撤回する”と宣言しています。彼が大統領になれば、すでに日本が拠出した10億円は返さず、さらなる謝罪と補償を求めてくるでしょう」

 この「次期大統領候補」は今年7月に竹島に上陸するなど、反日アピールにも余念がない。しかも、最新の世論調査では、ポスト朴の本命と目されてきた潘基文(パンギムン)国連事務総長を支持率で上回っているのだ。

 加えて、早稲田大学の重村智計名誉教授が、

「いまの野党は、いわば親北勢力です。彼らが実権を握れば拉致問題や核・ミサイル問題で北朝鮮に圧力をかける際、日韓の足並みが揃わなくなります」

 と断じれば、呉教授も、

「文氏の宣言に呼応するように北朝鮮は自国内の元慰安婦や、強制連行された人々の調査に着手すると表明した。つまり、野党が政権を握れば“わが民族”を旗印に、南北朝鮮が一体となって反日攻勢を仕掛けてくるリスクもある」

「朴槿恵」炎上を対岸の火事と軽視すれば「こっち側」も大火傷を負いかねない。

特集「慰安婦問題の約束不履行? 反日気運の増長?『朴槿恵』大統領炎上でこっち側の嫌な予感」

週刊新潮 2016年11月17日号掲載

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