李麗仙、元夫・唐十郎を著作権で訴える…離婚から28年

エンタメ 芸能 2016年09月10日

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 ネオン街の一角に作られた芝居小屋は“紅テント”と呼ばれていた。1960年代、アングラ劇団の「状況劇場」が熱狂的な支持を得たのは、唐十郎氏(76)と李麗仙さん(74)のコンビがあったればこそだった。ところが、元夫婦でもあった2人が今になって法廷の場で争っている。

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離婚28年目にして

「裁判を起こしたのは、『状況劇場』のことを何も分からない人たちに、好き勝手されるのが嫌だったからですよ」

 そう話すのは、李さんである。ご存じ、唐氏が率いた「状況劇場」の看板女優にして唐氏の元妻だ。その2人が離婚したのは88年のこと。この年、唐氏は劇団も解散し、新たに「劇団唐組」を立ち上げている。また、作家としても活躍しており、翌89年には今の妻と再婚している。一方の李さんも、離婚後は演技派俳優としてテレビや映画に進出し、2人は、別れた後も“戦友”のような関係だったという。

 が、異変が起きたのは昨年12月のこと。別れてから28年も経つのに、突然、李さんが唐氏と夫人(成年後見人)を相手取って裁判を起こしたのである。

 訴状は、「状況劇場」時代の著作権が李さんにあることの確認を求めたもの。この場合の著作権とは、他の劇団が作品を上演する際、了解を与える代わりに、お金の支払いを求める権利だ。

 まずは、訴えた李さんの言い分である。

「70歳を過ぎた頃から、私も財産や権利関係を整理しておいたほうがいいと思うようになったのです。唐と別れた時、私は2人で買った稽古場兼自宅を譲渡してもらっている。また、生活費と養育費として毎月30万円を払ってもらう約束をしましたが、こっちのほうは生活費(20万円)が3回分支払われただけで、こちらが連絡してもあとは音沙汰なし。弁護士に聞いたら請求できると言うのです」

 李さんによると、当時、財産とは別に「状況劇場」の著作権の譲渡についても唐氏は承諾していたという。これが問題になるわけだが、ずっと言いそびれていた。ところが、2012年5月、唐氏が自宅前で転倒し重度の脳挫傷を負う。

「この時、病院で唐の奥さんに初めて会ったのですが、お金や著作権のことをはっきりさせるつもりだったので、この際だからと13年の6月に、唐と奥さんに生活費と養育費の未払いについて催告書を送りました。さらに、11月にも著作権の譲渡を求める手紙を出したというわけです」(同)

 その手紙を送った数日後、李さんは唐夫妻と面会し、著作権の譲渡を受ける書面を取り交わしている。李さんから見ると、唐氏は正常な会話が出来ていたという。唐氏は「僕はこれ、サインしようと思うんだけど、どうかな」と妻に伝えていたというから、事はすんなり進むかに見えた。だが、昨年3月、夫人が唐氏の「成年後見人」になると、譲渡を拒否してきたのだ。

「著作権と言っても、1ステージ1万円ぐらいでお金が目的ではありません。作品に私は育てられたし愛情もある。にも拘(かかわ)らず、奥さんは法律事務所を通して著作権を渡さないと言う。これは許せません」(同)

■警察に通報

 一方、裁判の背景には夫人に対する李さんの不信感もあると明かすのは、「状況劇場」時代を知る関係者だ。

「李さんは、不倫で唐さんを寝取られたと思っているのです。また、こんなこともあった。離婚からしばらく経って、唐さんの母親が亡くなるのですが、唐夫婦は看取ることが出来ませんでした。結局、李さんが探し回った末に“風邪をひいて熱があるので行けません”と夫人から電話を受けた。怒った李さんは“来れなきゃ来るな!”と怒鳴ったそうです」

 元妻と現妻の確執に、再度火が付いたのは14年のこと。

「唐さんは山中湖に別荘(通称・乞食城)を持っており、ここには『状況劇場』時代の貴重なポスターなどが置いてある。李さんは“乞食城は劇団員の稼ぎで作ったものだから”と離婚後も出入りしていた。ところが、唐さんが倒れる前、ポスターを明治大学に寄贈する話が出たのです。李さんはそれを認めず、別荘からポスターをごっそり持ち出してしまう。これに対して劇団唐組が警察に通報する騒ぎが起きたのです」(同)

 さて、李さんに訴えられた唐氏の妻はどう反論するか(唐氏は正常な会話が難しい状態だと言う)。

「李さんの催告書や裁判で主張していることは、30年近く前の離婚当時のことなので、私は知りません。当の唐も(脳挫傷で)重症ですし、私もまだ成年後見人ではなかったので、何を要求されても返事のしようがありませんでした。(李さんは)著作権が自分のものだと言いますが、今までクレームをつけてきたことがありません。別荘にあったポスターなどの所有物についても寄贈・寄託は怪我前の唐の意思です。以前から“(明治大学に保管することは)いいことだね”と言っていましたから。そもそも別荘は主人の名義。勝手に入れば不法侵入です。盗難事件は、山中湖周辺でよく起きる別荘荒らしの可能性もありましたから、すぐに劇団唐組で盗難届を出したのです」

 だが、肝心の著作権に関しては、13年11月に李さんへ譲渡する書面を交わしているはずである。

「その数日前に李さんが家まで押しかけて来たのです。そんなことをされては困るので、(李さんの)言い分を聞いてみることになった。書面は預かって帰るつもりだったのが、大喧嘩になるのも嫌だったし……でも、唐は書面の内容を理解してサインしたわけではありません。医学的な証拠もあります」

 どちらも、「状況劇場」を守りたいと主張しているのだけれど――。

「ワイド特集 金持ち喧嘩する!」より

週刊新潮 2016年9月8日号掲載