98歳「中曽根康弘」元総理、SPの警護対象外に

政治 週刊新潮 2016年8月25日秋風月増大号掲載

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 82歳の天皇陛下が生前退位の意向を示された折も折、御年98歳の中曽根康弘元総理にも、進退を左右しかねない情報が浮上した。政界引退後も“不沈空母”のごとく影響力を誇示してきた大勲位が、人知れず、SPの警護対象から外されていたのだ。

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いまも週4日は“通勤”するという

 我が憲法を打ち立てて 国の礎(いしずえ)築くべき 歴史の責を果たさんと 決意は胸に満ち満てり――。

 いまから60年前の1956年に発表された、その名も「憲法改正の歌」の一節だ。作詞を手掛けたのは、当時“青年将校”と呼ばれた中曽根氏ご本人である。だが、そんな元総理も来年で白寿を迎える身。今年1月にも重病説が囁かれたことがあったという。政治部デスクによれば、

「しばらく表舞台に姿を見せず、記者が情報収集に走ったのは事実です。ただ、結局は風邪をひいて大事を取っただけで、入院もしていなかった。5月2日には自身が会長を務める議員同盟の大会に出席し、ハッキリとした口調で憲法改正の意義を説いていました」

 だが、ここに来て、大勲位の周辺では別の“異変”が生じていたのである。

 声を潜めて語るのは社会部記者だ。

「実は、この7月末をもって、中曽根さんは警視庁のSP警護対象から外されていたのです」

 V6の岡田准一がドラマで演じたことも記憶に新しいが、SPとは警視庁警備部警護課に所属する、要人警護専門の警察官である。

 元警視庁警視の江藤史朗氏の解説によれば、

「SPの警護対象となるのは、総理大臣や衆参議院の議長、国賓として来日した海外の要人です。また、要請出動という形で国務大臣や各政党の代表も警護しています。それ以外に、“警察庁の警備局長が指定した者”という基準があり、中曽根元総理の場合は、これに該当すると思われます」

■「憲法改正まで頑張る」

 ただ、たとえ総理経験者といえども、政界を引退すれば警護対象から外されるのが通例だという。その意味では、98歳までSPを従えていたこと自体、かなりの特別扱いと言える。

「政財界に影響力を持つだけでなく、存命中のキッシンジャー元米国務長官や、ゴルバチョフ元ソ連大統領といった、海外の実力者ともパイプがある。そうした点が考慮されて警護が続いていたのでしょう」(同)

 一方、豊島区にある元総理の自宅の近隣住民はこんな話を明かす。

「中曽根さんの政界引退後も、ご自宅の前には24時間体制で警察官が常駐していました。ただ、最近になってご家族から、“7月いっぱいでポリスボックスがなくなるので、戸締りに注意してください”と言われたのです。それを聞いて、中曽根さんの身に何かあったのかと心配していました」

 中曽根氏の事務所に事実関係を尋ねると、

「SPとポリスボックスによる警護対象から外れたのは間違いありません」

 さらに、長男の中曽根弘文・元外相はこう言う。

「警護して頂くのは有り難いのですが、何か起きれば責任問題になってしまう。それで、“他にも警護対象はいるだろうし、警察も大変でしょうから”という話はさせてもらっていました。最終的に警護対象から外れたのは警察側のご判断です」

 また、健康不安についても言下に否定する。

「常々、“俺は憲法が改正されるまでは頑張るんだ”と言っているし、会長職にある世界平和研究所の会議にも顔を出しています」

 実際、新年会や誕生会では、先の「憲法改正の歌」を朗々と歌い上げるほど、意気軒昂だという。

 警護の対象からは外れようとも、介護の世話になるおつもりはなさそうだ。

「ワイド特集 掟破りの掟」より