尾崎裕哉さんインタビュー 父・尾崎豊への思いを語る

芸能2016年7月27日掲載

 7月16日に生放送されたTBS「音楽の日」で大きな注目を浴びた尾崎裕哉さん。初めて出演したテレビ番組で、父・尾崎豊さんの「I LOVE YOU」と、自身のオリジナル・ソング「始まりの街」を歌い、「鳥肌が立った」「奇跡のTVライブ」などと大反響となった。

■指先にあらわれた緊張

尾崎裕哉さん

「あの日は出番までずっと家にいるように言われていたのですが、普通に過ごしたいなと思って、カフェに行ったりしていました」

 尾崎裕哉さんは、そう言って笑う。

「出番は夜9時くらいだったので、夕方くらいに家に戻ったんです。で、ちょっと迷ったんですが、テレビで『音楽の日』を見ました。緊張するかなと思ったら、明るい感じの番組でしたし、そうか、僕が歌う姿はこういう風に見えるんだってわかって、なんだか安心できたんです。で、出番が来て、楽屋を出たときに、『やってやるぞ!』と腹をくくりました」

 話しぶりからもマイペースさが伝わってくる裕哉さん。とはいえ、テレビ初出演で緊張しなかったのだろうか。

「うーん、失敗したらどうなるんだろうっていう恐怖みたいなものは脳裏をよぎりましたよ。でも、あがったかといえば、そんなこともなかったんです。スタジオにお客さんがいてくれたから、ライブと何も変わらないなあ、と。僕はレコードも出していませんし、無名の状態でやってきたので、先入観なしで自由に聴いてほしいと思っていました」
 しかし、意識はしていなくとも、体は緊張していたようだ。
「出番の5分前に指を見たら真っ白で、爪の色が紫になっているんです。すごく冷たいし。弾き語りなのでまずいなあ、と思いました。でも、自分のタイミングで曲に入ればいい、とそれだけを思っていたんです」

■「自分は歌を届けることができるんだ」

 1曲目は「I LOVE YOU」。アコースティックギター1本での弾き語りだった。

「父親に似せて歌うのではなく、僕の『I LOVE YOU』を歌おうと思いました。スタジオのお客さんの先まで、テレビカメラの向こうで聴いてくれている人たちまで声を届けようと思って、歌いました。あとでみなさんの反応を知って、自分は歌を届けることができるんだ、自信を持っていいんだ、と嬉しくなりました」

 2曲目は「始まりの街」。母に捧げるオリジナル・ソングだ。

「とても気持ちよく歌えました。それでも、やっぱり緊張していたのかな。ベストは尽くしましたけど、正直、もっと良く歌えます(笑)『始まりの街』は純粋な曲ですが、僕はテイストの違う曲もつくっています。興味を持ってくれた人は、『始まりの街』を入口に、いろいろ聴いてほしいです」

■父親の分まで生きる

 2016年7月24日、裕哉さんは27歳になった。父・尾崎豊が生きた年齢を超えたことになる。

「正直、あまり実感はないんです。肉体の年齢とは別に、精神の年齢ってあるじゃあないですか。父親は、それが非常に高かったと思うんです。だから、内面的にはまだまだという感じです。ただし、父親の分まで生きたいとは思っています。昔は、父親の分まで生きるということは、父親と同じように考えたり、父親と同じことを経験したりすることだと思っていました。でも、父親が経験できなかったことを代わりに経験していくことが、父親の分まで生きるということなんだと思うようになったんです。そして、父親ができなかった経験をすることが、父親と僕の違いを生む。僕の人生を僕らしく生きることを、父親も喜んでくれると思うんです」

今後の予定を聞いてみた。

「7月30日に淡路島で行われるフェス『FREEDOM aozora 2016』に、8月7日に福島の猪苗代で行われるフェス『オハラ ブレイク』に出ます。8月23日には、これまで何を考えながらどういう風に生きてきたかを書いた本『二世』が出版されます。僕の父親は僕が2歳の時に亡くなりましたが、僕は、自分の中にいる父親を感じながら生きてきました。この本も、父親と対話をしながら、自分は何者なのかを知るために、これまでの人生で経験したことや考えたことを書いたんです。僕の個人的な物語ですが、タイトルには、さまざまな意味をこめています。それは、誰もが誰かの二世だということ。読者の方が、自分の親子関係と重ねて読んでいただけると嬉しいです」

 音楽と言葉を使った裕哉さんの活動は、始まったばかりだ。