7歳置き去り事件の発端「人や車に石投げ」……『いやいやえん』中川李枝子さんは「命にかかわることは叩いてでも教える」

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 行方不明になってから6日後に、無事発見。その知らせに多くの人が胸をなで下ろす一方、「置き去り」について様々な議論が沸き起こったことはまだ記憶に新しい。

「山中に置き去りは虐待だ」「しつけは必要でも、限度を超えている」「親として、父親の気持ちは分かる」などの声が上がり、海外メディアも続々と事件を報じた。

 では、事件の発端は何だったか。報道によれば男児が公園で、人や車に石を投げつけたことだったという。

 子育ての経験があれば、「石を投げる」が日常茶飯事とまではいかずとも、「よくあること」のひとつと捉える人もいるのではないか。だが幼児でも、石を投げれば、それが思わぬケガや事故に繋がることがあり得るのだ。

 そんな時、どうやって叱るべきか。どのくらい叱ればいいのか。

「命にかかわることは叩いてでも教える」

『いやいやえん』や『ぐりとぐら』などの著者で、長年保母を勤めた中川李枝子さんは、「ケガや命にかかわることは、叩いてでも教える」と持論を語っている。

 この「叩いてでも」には、じつは「おててピン!」というとっておきの方法があるのだそうだ(以下、10万部突破のベストセラー『子どもはみんな問題児。』より引用)。

「ときに説明するより叩いて教えるのが先、急を要するということがあります。

 そんな時は『これっ、いけません』とにらみ、『おててピン!』『あんよピン!』。

 ここで勢いに任せて叩くのはご法度。ごく軽くさわる程度に『叩く』のです。

 ガス栓をいじる。お友だちを蹴っ飛ばす、ひっかく、髪の毛を引っぱる。

 そのたびに悪い手、悪い足を軽く叩きます。でも声だけは『ピン!』と厳しく叱ってください。

 子どもは『うえーん、いたいよー』と泣いて、それでおしまい。

 そのうち叩かなくても『ピンよ!』とにらむだけで『いたいよー』と泣くようになり、その効果はてきめんすぎるほどでした。

 先生に『めっ』と叱られ、『ピン』の響きでいけないことだったと後悔、泣いて反省を示す。

 これが私の勤めていたみどり保育園の日常のひとコマでもありました。

 年長児になると、不思議とこの決まりごとは消滅して『めっ』も『ピン』も不要、聞き分けのよい子になっていました」

 厳しい顔で叱っても、「叩く」のは触る程度にするわけだ。ただ効果は十分、子どもには叱られていること、いけない行為だったことが伝わる。数多くの子どもたちを預かってきた保母ならではのテクニックと言えるだろう。

 中川さんは続けて言う。

「子どもに関わる大人が求められることは、病気やケガをさせないことでしょう。

そして子ども自身にも、自分の身は自分で守らなくてはならないことを覚えさせることです。

 他人を決して傷つけないことも大切です」

 育児雑誌や育児書では「ほめること」ばかりが推奨されがちだが、幼いうちからきちんと叱ること、教えていくことの大切さもこの機に見直したい。

デイリー新潮編集部

2016年7月15日掲載

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